第12話 パーティー2

「あむっ…やっぱオレンジの作る料理は美味いな…」


「プラムったら…食べ物を口に入れたまま喋るのは汚いよ?せめて手で隠して?」


「あぁ…ごめんな?」


「オレンジー」


「ん?フェンはどうしたのかな?」


「今度料理教室やってくれないか?実はこの4人で暮らしてるんだが、俺が夕飯を作ってるんだ。だから、もっと美味しい料理を作れるようにしたいから、頼めるか?」


「暇があったらね!」


「ありがとな!」


「オレンジさーん」


「ん?どうしたんですか?先生」


「家庭科の成績がいいからって言うことだけでなんでこんなに美味しい料理作れるんですかー?」


「ふっふーん…こう見えても昔は料理人を目指していたからね…中学生としての最後の行事でお菓子作りがあったんだけど、悠々と優秀賞をかっさらってったね!」


「確かあの時は…アップルパイを作ってたな…」


「アップルパイだけではないのです。班で一つだけ作るっていう予定だったはずなのに暇だからって言う理由でクッキーとチュロスも作った強者なのですよ…」


「あのときは怒られながら褒められてたからね…どう反応すればいいかわからなかった!」


「あれ、じゃあアップルパイは作らないんですか?」


「時間の関係でね、作れないんだよね…」


「それは残念ですねぇ…」


「まあ今までの感謝もありますし、暇があったら皆さんに差し入れで持っていきますね?」


「それはありがたいですねぇ!」


どんどん予定が増えていく。


「…そうだ!カエデー!ビャッコー!」


「どうしたー?」


「仲間になったでしょ?だからね、役割を決めてもらいたいな!」


「「役割?」」


「簡単にいうなら、僕とプラムとオリーブで基本は潜入、カカオがナレーション、アップルがもしものための待機、コスモスがハッキングとかするんだけど、オオカミだとかのメスは基本家で夕飯の用意とかをしてるね?」


「そうだな…潜入は人数が少ない方がいいのか?」


「どっちかといえばね。でもその施設の広さにもよるから、あの時の大江戸さんのときはみんなで入ったよ」


「なるほどな…」


「ちなみに基本的能力として察知能力があるか、素早いかのどっちかがあれば十分だよ?」


「そうなんだ…」


「そういえばカエデって僕に似た何かを感じるね…」


「そう?」


「そうだね。同じタイリクオオカミのフレンズで、オスでもあって、一人称も同じで喋り方も一緒。怖いね…」


「あ、なら変えます?」


「え?」


どういうことか、全く理解できてない。


「あぁ、あれか」


「僕って二重人格なんですよ!それも好きなように変えられる!」


「へぇ!一回出してみてよ!」


「わかった!」


カエデが目を閉じて一息つくと、また目を開ける。だがその目はオッドアイなのは変わらないが、金と黒から赤と青に変わっていた。


「…ふぅ、これが僕のもう一つの人格だ」


「おぉ!?カッコいいじゃん!」


「ふふっ、そうか?」


「そうだとも!」


「ちなみにこの性格になるとなぜか身体能力があがる。ざっくり言うなら、あっちの僕が野生解放したときの状態がずっと続く感じだ」


「え!?それって…この状態からも野生解放は?」


「もちろんできる」


「わー…すごい…ぜひ潜入組に入ってもらいたいね…」


「最初からそのつもりでいた」


「よし!決まりだね!あ、お兄ちゃーん、もう一杯ー」


「あいよ!」


実はオレンジ、この状態でも少し酔っているが、酔いには強いのだ。でも強いのは断じて飲まない。


「ね、オレンジ?」


「ん?どうしたの?オオカミ」


「ほら、あーん?」


オオカミがオレンジに向けて唐揚げを食べさせる。


「…ふふっ、ありがとね?」


「…オレンジが作る料理は美味しいね…漫画を描くのも捗るし、私たちが作る料理よりも美味しいし…」


「いやいや!みんなが作る料理だって美味しいよ!」


「私がオレンジと結婚して、子供もできたとき、私がやることなんてあるかな?」


「協力してこその夫婦なんでしょ?だから、子供を作るときだって、子供を作る前だって、子供ができた後も、今もこれからも、ずっと協力して生きていこ?」


「もちろんそのつもりさ…これからもずっと交尾もして、愛し合って、生きていくよ…怪盗団でも、私たちは愛を持ってるんだから…」


「僕はオオカミの全部が好き。漫画も、体も、その性格も、全部好き!」


「私も、オレンジの作る料理、体、性格、全部好きさ…」


「オオカミは、浮気しないよね?」


「そういうオレンジこそ、しないよね?」


「もちろん!オオカミ以外はもう愛せないからね!昔からの幼なじみで、昔からずっと好きだったペアだしね!」


お互いに体を引き寄せあい、手を握り合いながら頭をコツンと合わせて、耳をピョコピョコさせる。さらには尻尾も絡め合う。


「ふふっ、これで、ずっと私たちは一緒だね?」


「大学卒業したらすぐ結婚するって約束だからね?」


「もちろんそのつもりでいるさ!」


「結婚して指輪をはめるまで、我慢だよ?いつか、買ってあげるからね…」


「もういくつかの夢は叶ってるから、あとつがいと結婚することと、子供を作ることだね…」


「どうする?結婚したら…怪盗業、やめる?」


「…それはこれから決めようか…」


「まあ、幸せを願うなら2人で幸せに暮らすし、絆を願うならこれからも、怪盗業を続けてもいいけど?」


「それは時期に決めることだから、今は今の幸せを求めるよ…?そういえば前から思ってたんだけど、私とオレンジの部屋に2つ、賞状みたいなの飾ってあるけどなんなの?」


「あー、それしっかり見なかった?調理師免許と調理師資格だよ?ちなみに資格は一番いいやつの師範だよ?」


「師範って誰かに教えたりするの?」


「うーん、あくまでも教えられることができるだけで、教えられるほどの知識は持ってるからね?」


「なるほどねぇ…」



そのままパーティーを続ける。


「さーてと、今日のメインのデザートに入ろう!デザートはこの、クレープとアップルパイと、自家製のアイス!」


「アイスって?」


「あぁ!バニラ、チョコ、キャラメルを用意したよ!ささっ、取っていって?」


「アイスかぁ…今までに作ったことってあったっけ?」


「ないない!みんなにも隠していた秘密のアイスだよ!普通のアイスとはちょっと違うてね…!」


「え?」


カカオが食べるとすぐにその顔が変わる。


「何これ!?すぐに口の中で溶ける!?なのにしっかり美味しいのなんで!?」


「ふふっ、ある技を使ったからね…これ、秘密だよ?」


「教えてもらったとしても作れなさそうだから問題ないよ!」


「…だよね。ねぇカカオ」


「ん?どうしたの?」


「もしさ、カカオと博士が結婚することになったとするじゃん?」


「うん、元からそのつもりでいるけど?」


「そうしたら怪盗って辞めるつもりでいる?」


「あー…考えたこともなかったなぁ…」


「だよね…」


「でもなんでそんな話を?」


「僕とオオカミはね?大学を卒業したあと、指輪を買って、結婚するつもりでいるんだけどね?結婚したあとに安定した幸せを求めるために怪盗を辞めて、2人で暮らすか絆を求めるために結婚しても怪盗を続けるかのどっちかで悩んでるんだよね?」


「あぁ…じゃあ僕の方もコノハちゃんに相談してみるよ!」


「うん!」


「こういう相談ならなんでも僕たちに聞いて?」


「わかった!ありがと!」


せっかくだからみんなに聞いてみることにした。


「プラムとライオンー」


「んー?」


「どうしたー?」


「相談があるー」


「相談?」


「どうしたのー?」


「あのね、僕とオオカミは大学を卒業したら指輪を買って、結婚するつもりなんだけどね?」


「そんなに早いんだねー!羨ましいなぁ…」


「…俺も、すぐに結婚できるような環境整えてやるからな…?」


「で、結婚した後は幸せを求めて怪盗を辞めて、安定した生活を送るか、絆を求めて怪盗を続けるか、悩んでるんだよね…?」


「そういうことか…俺だったら絆を重視したいところだけどな…」


「私はプラムと幸せに暮らせるならそれでいいもんねー!」


「そっか…」


「ともかく、俺は基準を決めてあるな!過半数以上辞めるんだったら、俺は辞める!」


「私はプラムについていくよー!」


「なるほど…ありがとね」


次はアップルとワシミミズクのところ。


「アップルー、助手ー」


「ん、どうしたのですか?」


「相談が」


「相談?」


「そ。これからに関することなんだけど…僕とオオカミは大学を卒業したら結婚するつもりなんだけど、そこで怪盗を辞めて2人で安定した生活を送るか、みんなと怪盗を続けるかで悩んでるんだよね…?」


「そうですか…私としては、怪盗をやめてアップルと愛のある生活を送るのが夢なのです。だからこそ、結婚したら警察に捕まらないような環境で2人で暮らしていきたいと思っているのですよ」


「俺もそうだな…」


「なるほどねぇ…見事に意見が分かれたか」


「ん?」


「いや、なんでもない!ありがとね!」


最後にコスモスとフェネックのところ。


「コスモス、フェネック」


「ん?どうした」

「どうしたのー?」


「相談があってね?」


「相談…急にどうしたんだ。らしくないぞ」


「それもそうだけど…僕とオオカミは大学を卒業した後、結婚する予定でいるんだけどね、そこで怪盗を辞めて安定した生活を送るか怪盗を続けるかで悩んでるんだよね?」


「あー、俺たちは…決まってるな」


「そうだねぇー、私たちはもう辞めるつもりでいるよー?」


「そっか…」


「俺たちは安定した家庭を築きたいからな」


「なるほど…ありがとね!」


みんなに聞いたとはいえ、これで決まったわけではない。


「…ふぅ、さて、僕もアイスを食べますかね…」



パーティーが終わり始めた頃…


酔っている人もいることから、酔っていない人の車で送って行くことになった。

…ちなみにオレンジは酔ってはいないけど念のため、オオカミが運転している。

最初にリベリオンウィングの3人を送っている。


「…つまり、僕たちは学校でいろいろな意味で有名だったけどそれがこの前、皆が一致した理由で有名になっちゃったんだよねぇ…」


「な、なるほど…」


「まあまあ、これでも楽しめてるからね!」


「着いたよー?」


「おっ、すまないな…」


「今日は来てくれてありがとねー!また会おうかー!」


「あぁ、またな!」

「またねー!」

「また、いつか」


3人が車から降りる。


「ふう…これで最後だね?」


「うん!さ、みんなは先に家に戻ってるだろうから僕たちも戻ろうか!」


楽しい時間はすぐに終わる。その翌日にはまたいつもの日常が戻る。

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けものの怪盗 プリン制作人 @r042753

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