第69話.神と悪魔の共同③

 廃工場の地下に下りた、夢城真樹ゆめしろまき福地聖音ふくちきよね


 二人の視線の先にあったもの。


 それは透明の大きなカプセルに入り、中でヘッドギアをつけ、直立し瞼を閉じて瞑想しているような、若い女性の姿だった。


「な、なにをしてるの!? あの子は!」


 真樹が驚きの声を上げる。


「それに、な、なんや、ここは! 上の廃工場からは想像もつかん、なんかいろんな機械が並んでるすごいハイテクチックな場所やで!」


 続けて聖音も声を上げた。


 それでも真樹は臆せずカプセルを叩いた。


「もしもーし、何をされてるんですかぁ?」


「お、おい、真樹。触れても大丈夫なんか!?」


 聖音は警戒し、注意を促す。


 しかし、カプセル内の女性は真樹の呼びかけには応えず、無言で瞼を閉じたままだった。


「何の反応もないわね。死んでるのかしら?」


 真樹が呟くように言う。


「いや、お腹が膨らんだり凹んだりしてるから、呼吸はしとるようや。だから生きてるで」


「彼女が答えてくれなきゃ、ここが何をする場所なのか、さっぱりわからないわね」


 困り果てた真樹が腕を組んだ時、


「何をしてるか……、知りたいっすか?」


 と女の子のような声が聞こえた。


「誰!?」


 声の主の方へ二人が目を向ける。


 すると部屋の奥から、ショートヘアにデニムのショートパンツを穿いた、見た目からでは性別がわからない人物が、不適な笑みを浮かべながら、ゆっくりこちらへと向かって歩いてきた。

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