第56話.児童館での推察②
「たしか……、くすぐり用の鳥の羽根、石抱き用の伊豆石、股裂き用の三角木馬……」
「全部ちゃうやろ! 剣、斧、槍、弓、鞭や!」
聖音は目を吊り上げて怒る。
「知ってるんなら聞くんじゃないわよ!」
真樹も言い返した。
「今からする話に必要やからや! それでそのメタアースのモンスター狩りの方法に、亡くなった人の状況を重ね合わせてみぃや」
「えーと、亡くなった人は……、水責めに火炙り、逆さ吊り……」
「刃物で切られたり、紐で閉められたり、何かで刺されたりして亡くなってるやろ?」
「あ、あたしの言ったこと無視した」
「いま謎の不審死とされてるケースを調べたら、死に方が大体このパターンやねん。これってメタアースのモンスターを倒す方法と一致してるような気がせえへんか?」
聖音は真樹に真剣な眼差しを向ける。
「たしかに。でももし、アンタの言うそれが当たってるとすると……」
「……メタアースと現実はリンクしてる。それがツカサの見立てやねん。でもうちはほんまにそんなことが可能なんかとは思うけどな。果たして誰がどういう方法を使ってやってるのか……」
「可能かどうかなんてことは考える必要もないでしょ。天帝の一味なら、この世界を創造したって言ってるんだから、自分達の好きにできるはず」
「えっ、そりゃま……、そうなんやけど……」
「それよりも大事なのは、その狩られる人ってのが、誰でもいい不特定なのか、それとも共通点があるのか、そっちを調べた方がいいんじゃない? 共通点がわかったなら次の犠牲者も防げるかもしれないわよ」
真樹が得意げ言った。
「うーん、たしかにそうやな。よし、この件に関しては神も悪魔も無しの休戦協定や。真樹も力貸してくれるか?」
聖音が訊いた。
「嫌」
真樹はそっぽを向く。
「なんでやねん! 悲しむ人を救えるかもしれへんねんぞ!」
「誰が悲しもうかなんてあたしには知ったこっちゃないわよ。それよりも自分のやるべきことを優先するわ」
真樹は不敵な笑みを浮かべながら言った。
「なんて奴や……! せやから人間に悪魔って呼ばれて嫌われんねん」
「はいはい、なんとでも言いなさい。この世界のすべての問題にいちいち首を突っ込んでたら、体がいくつあっても足りないわよ」
真樹は聖音に向けて舌を出す。
そんな真樹に対して、聖音は協力を求めたことを後悔しながら、彼女を苦々しく睨みつけていた。
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