第52話.女王の君臨④
ケロッキーの言ったことは忘れ、メタアースの世界で女王ヒミコとして遊ぶことにする。
「ヒミコ、これから一緒にメタアースを盛り上げていこう!」
「性別も国籍も年齢も障がい者も関係ない。ケロコインが無くなったらモンスターを狩れば良いし。みんな平等の、これこそ理想の世界だ!」
「リアル世界が不平等のクソに堕ちたからな!」
「ここにはブラック企業とかも親ガチャとかもないし!」
「メタアース、最高!」
アバター、誰もがメタアースを讃える。
「わたし、難しいことわかんないけど、そう言われたらメタアースって平等な気がする」
みゆりは返事した。
「ヒミコ、早くこっちの世界をリアルにしてくれ!」
銀髪のアバターが言った。
「そんな。それさっきも言われたけど、わたしそんなことできないよ」
みゆりは手を振って断る。
「なんで? それができるのはヒミコだけだし、ヒミコはそのための女王だろ。リアル世界の終末の日にヒミコの思いでリアルとメタアースとが融合するんだ!」
「あと一ヶ月だっけ? 早くその日が来て欲しいな」
「いまは終末に生き残れる次世代の人間と古い人間を
一斉にアバター達に話しかけられて、みゆりは頭がパニックを起こしそうだ。
「な、なんかわたしの知らないことばかりだけど、たしかにこっちの世界の方が住み心地がいいかな」
女王よりも一般の人達の方がメタアースについて詳しい。
みんなの話を総合すると、自分は単なる飾り物の女王ではなさそうである。
結局、女王でありながら知らない事だらけのみゆりは、メタアース内では創造者であるケロッキーの支えが無くてはならないようだ。
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