第48話.神達の団結
外観が美しいマンションの一室にある『サクラメント人生相談所』。
そこで
「もー、どうなってるん!? うちの働いてる児童館の子どもの中にも身内が突然亡くなったって悲しんでる子が出てきてるし。一体、何が原因なん!?」
聖音が叫ぶように言うと、ソファーに座っている
「勝手に警察にされてるわたしのところにも、家族が不審な死を遂げたっていう相談が日を追うごとに多くなってる」
憂いを帯びた百瀬の表情を見て、今度は彼女の向かいに座るサクラメント人生相談所所長、
「世の中が不安に襲われている現実を放っておくわけにはいきません。不審死を遂げた方の中には、情の新世界に相応しい方もいらっしゃったでしょうに」
「でも原因を突き止めようにも、高齢者が多いぐらいで被害者は年齢もバラバラで、死因も刺されたり斬られたり首を絞められたりとバラバラやし、証拠も何もないから事故か他殺かもわからへんねんで」
聖音は眉尻を下げた。
「その原因なんですが……、最近、メタアースという仮想世界に我々も参入しました」
天園が足を組んだ。
「それがどうしたん?」
聖音が怪訝そうに訊く。
「その世界にモンスターの森というものが現れたのはご存知でしょう」
「ああ、リアルマネーが稼げるってやつね。でも稼いでも現金化できないから、みんなメタアースで使えるケロコインに変えてるけど」
百瀬が答えた。
「気づきませんか?」
「何が?」
聖音は首を傾げる。
「モンスター狩りを行うには武器が必要です。その武器が剣や鞭、槍、斧、弓といったもの」
「思いっきりRPGよね」
百瀬は苦笑した。
「被害者の死因と当て嵌めてみてください」
「……あっ!」
刹那の沈黙の後、聖音の目が丸く見開いた。
「えっ……!? そんな、ちょっと待って! まさか!? マジ!?」
百瀬も驚愕し、目を剥く。
「お二人とも、気づかれましたか。実際、モンスターの森に出入りする人が増えた頃から、事件の件数も比例して増えています」
「メタアースとリアルがシンクロしてるってこと!?」
百瀬が声を上げる。
「でも、そうやとしても……、現実に仮想世界をシンクロさせるなんてそんなことどうやってやるん!? にわかには信じられへんわ」
聖音は目を丸くしながら首を左右に振った。
「どうやってやるかは……、すみません。私にもわかりません。それにこれはまだあくまで私の想像。でも世の中の裏で何かを企んでいる者がいる可能性は、今までの騒動を振り返ると十分に有り得ること……」
天園の目つきが険しくなった。
「それは……」
「……天帝」
天園の目を見た聖音と百瀬が声を揃えた。
「……調べましょう。皆で力を合わせて。心優しき人々の為、そして情の新世界創世の為にも」
天園が二人に告げる。
聖音と百瀬は、二人同じタイミングで力強く頷いた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます