第42話.女王の約束④
初めて触れる仮想世界に涼太は興奮気味だ。
そんな涼太に、街の外にある森へ行くよう指示した。
そこではモンスター狩りがゲームのように楽しめるからだ。
鬱蒼とした森へ足を踏み入れた涼太は、恐る恐る中へと進んでゆく。
「なんかゲームの世界に入ったみたい!」
ゴーグルを掛けた涼太が言う。
「雰囲気あるっしょ?」
暫く進むと、道の右側の生い茂る草むらがガサガサと揺れ動いた。
「うわっ!」
涼太が声を上げる。
草むらから現れたのは骸骨のモンスター。
「スケルトンだ、そいつ」
モンスターは涼太の前に立ちはだかった。
「お姉ちゃん、どうしたらいいの?」
「わたしの武器は鞭だから、コントローラーのスティックの横のBボタン押してみな」
ゴーグル内に「クイーンズウィップ」というアイコンが現れ、涼太はそれを選択した。
みゆりのアバターの手に鞭が握られている。
「そのボタン押しながらスティックを振ると鞭を振ってスケルトンを攻撃できるよ」
涼太はみゆりに言われた通りに、コントローラーのスティックを振ると、メタアース内のみゆりのアバターも鞭を振るった。
「えい! えい!」
掛け声と笑い声をあげながら、涼太はモンスターと戦う。
やがて涼太はスケルトンを倒した。
「これ面白い! 自分がゲームの主人公になったみたい!」
涼太ははしゃいでいる。
みゆりは自分が招待したメタアースで喜んでくれる涼太を見て、ますます嬉しさが増した。
「もっと遊んでいいよ」
次に涼太の前に現れたモンスターは緑色の体をした筋肉質の鬼のような怪物。
「それ、オーガだ。ちょっと強い奴だから気をつけて」
涼太は体を左右に揺らしオーガの攻撃を避けながら、懸命にスティックを振る。
「涼太、Aボタン押してみな」
涼太は言われた通りに押した。
「『ハンギング・オブ・ザ・クイーン』って必殺技が出るっしょ。それ選んで使ってみ」
涼太は言われた選択肢を選んだ。
すると手に持った鞭が素早くオーガの首に巻きつき、高く吊り上げる。
オーガはギャァ!と悲鳴をあげた。
涼太はオーガを倒した。
「ほら勝てたでしょ。強い敵のときはその技使うといいよ。ただMPみたいなのがあって使える回数が決まってるから……」
みゆりがそう説明しながら涼太の方を見ると、先程まではしゃいでいた涼太に元気が無い。
「……どうした? 涼太。って、あっ……!」
みゆりは心の中でしまったと思い、小さく声を上げた。
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