第91話.裏返りの聖戦⑧
もう一つの戦い、終末を監視する者と
この機を狙い、
だがそんな莉沙達を、終末を監視する者が嘲笑う。
「どこまでも愚かな駄作どもよ。こんな児戯にも等しい奇能で、私を倒す気でいるとは」
そう言うと、終末を監視する者の目が強く光った。
異次元空間が目映く照らされる。
「影よ、消えよ。永遠の闇へ」
すると一転、先程までの明るさが消え、一切の光がない闇に空間が包まれた。
「これは!」
「何も見えない!」
先導者達の慌てる声が漆黒の中に舞う。
「これにより影の蛇は闇へと消えた」
終末を監視する者の声が聞こえると、続いて「きゃあ!」と小咲芽の悲鳴が聞こえた。
「ぐわっ!」と、
さらに、ずめっ、ずめっと、何かがのたうち回る音も聞こえている。
終末を監視する者が、影の蛇の縛りが解けた舌を振り回しているようだ。
このままでは、いずれ一方的にやられてしまう……、莉沙はそう思い、姿の見えない
「ももせ! はやく私をカブトムシで打ち上げて!」
「えっ! こ、この真っ暗な中で!?」
「早く!」
莉沙が闇で叫び、促す。
次の瞬間、百瀬の奇能であるカブトムシが、莉沙を大きく跳ね上げた。
上下左右、どれぐらい高く自身が打ち上げられたのかもわからない、一切の感覚が失われた闇の空間で、莉沙は己の勘だけを頼りに、どのあたりにいるのかわからない終末を監視する者へ向かって、宙から突撃していった。
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