第90話.裏返りの聖戦⑦
リリスとガブリエルを襲った強い光。
視界が光の白一色で閉ざされる。
その白光の中、何かが倒れるような大きな音と
強い光が止み、リリスとガブリエルに視界が戻る。
リリスがハッと顔を上げると、目に映ったのは、二人を押し潰そうとしていたアリアの巨船が、ゆっくりと横に倒れてゆく姿だった。
マストが折られ、船体には大穴が空いている。
そして巨船の上には、長い剣を手にした、ギリシャ彫刻のように美しい肉体の男が、翼を広げ、宙にとどまっていた。
その男は、右半身が銀粉が塗されたように輝き、左半身は金粉が塗されたように輝いている。
そしてプリズムのような虹色を発する冠を被っていた。
「私は人の心に宿りし情を護る者。人は私をミカエルと呼ぶ。先程は貴様のような卑怯者の
どうやらその男は、アリアにやられたはずのサクラメント人生相談所の所長、
リリスはその男が話終わる前に、この機を逃すまいと、勢いよく高速でアリアの前方に回り込み、円錐状に変化させた自身の右腕で、倒れゆく彼女の眉間の辺りを素早く突き刺した。
深く食い込むリリスの腕により、アリアの顔が歪む。
更に今度は、アリアの錨の鎖で振り回され自由のきかなかったガブリエルが、今が逆襲の時とばかりに手に持った剣で、舳先のアリアの顔を華麗に一刀両断で削ぎ落とした。
次の瞬間、とどめを刺されたアリアは、不快な金切り声を周囲に響かせ、また彼女の奇能である巨船も轟音を立てて、崩れていった。
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