第88話.裏返りの聖戦⑤
リリスとガブリエルが
「行って! ストローマン!」
左右非対称の藁人形は、自身の身体を構成する藁をカサカサと伸ばし始めた。
伸びた無数の藁は正岡が変化した「終末を監視する者」に巻き付いていく。
「行っけー! ビートル・イン・ザ・ボックス!」
すると、終末を監視する者の
終末を監視する者は、涎を滴らせているその舌で、自身に絡み付いている藁人形の藁と、向かってくるカブトムシを薙ぎ払う。
すると、藁とカブトムシの角の先は、酸をかけられたように溶けてしまった。
「えっ!?」
百瀬が驚きの声を上げる。
「これでも喰らえや! 聖者の
今度は
その人形の胸の扉が開き、鎖で人形と繋がれた巨大なトラバサミが、終末を監視する者へ目掛けて飛んで行く。
そのトラバサミは、終末を監視する者が振り回している舌を挟んだ。
「ぐがぁ!」と終末を監視する者は悲鳴のような声をあげたが、すぐにトラバサミが溶け始め、やがて鋭い
「ちっ!」と鬼童院は舌打ちをする。
「わたしの犬なら! 行って! レッドへリング!」
続いて
猟犬は、終末を監視する者の舌の攻撃を軽やかに躱すものの、執拗に振り回す舌の動きに阻まれ、なかなか本体へ噛み付くことができない。
そのうち終末を監視する者の舌から流れ落ちた涎が地に溜まってしまい、猟犬が脚をつけたとき「キャオン!」と鳴く声が聞こえた。
脚が焼けた痛みで猟犬が怯え出し、徐々に動きが鈍り、ついには攻撃を止めてしまった。
「これじゃ本体に近づけない!」
莉沙が叫ぶ。
先導者全員に不安と焦りが芽生え始めた。
そんな中、
「ここはわたくしに任せてください!」
と、力強く声を上げたのは、
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