第87話.裏返りの聖戦④
二人はそれぞれ左右へと飛び、躱す。
そして、アリアの船尾側から、ガブリエルは剣を、リリスは宝石のように硬い腕を彼女の船体へと叩きつけた。
だが、帆船の頑丈な竜骨に阻まれ、アリアはダメージを受けていないようで、苦しむ様子もない。
それどころか今度は、荒波に揉まれる船のようにその巨体で暴れ回った。
それでも二人も焦る様子もなく、アリアの船体を難なく躱し続ける。
だが、攻撃を続けようとガブリエルが剣を振り上げた時、その死角の隙をついて、アリアの船体から鎖で繋がれた錨が飛んできた。
錨は瞬時にガブリエルの身体へ巻きつく。
羽毛を掻き分け、爪がガブリエルの肉体へと食い込んだ。
ガブリエルは悲鳴を上げた。
白い羽毛が赤く染まる。
リリスが救いに行こうとするも、アリアは鎖で繋がれたガブリエルごと激しく振り回した。
これが牽制となり、迂闊にアリアへ攻撃ができない。
リリスが躊躇しているうちに、アリアの暴走は更に激しくなり、巨船とは思えない素早い動きで、広い空間を生かし、前後左右からリリスへ向かって突進を繰り返す。
リリスは硬い右手に力を込め、指先を円錐状に変化させた。
とにかくアリアの動きを止めるしか、いま思いつく手段はない。
そう考えたリリスは、円錐の腕で舳先にあるアリアの顔を貫くことにした。
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