第44話.感涙のメッセージ
ある夜、
[ お疲れー☆ 実は夏休み中にミスコンのアピール動画作らなあかんねん]
[ももせ、動画作るの慣れてるからアドバイスとかもらえるかな?]
メッセージの内容は、動画作成の手伝いを頼むものだった。
百瀬は先日、悪魔側の先導者、
そしてその後、戦いで傷ついていた自分を、悪魔である
その出来事を聖音に話さず隠していることが心苦しかった。
そのうえ、再び莉沙と戦う約束を、真樹と交わしてしまったことも。
ただしこのことを話すと、真樹が言った通り聖音は大いに心配し、迷惑をかけることにもなるだろう。
もしかして莉沙とは戦わない方がいいんじゃないか、というのも頭をよぎる。
だが、悪魔の先導者を一人仕留めれば、新世界創世に大きく貢献できるだろう。
自分の力が神の役に立つのだ。
また、このことは聖音には内緒しておくと、真樹と約束してしまった。
いくら相手が悪魔とは言え、約束を違えるという不誠実なことは、神に選ばれた人間として、決してできない。
[いいよ]
百瀬は一言だけ返信する。
[ありがと。それとな、もう一つ聞きたいことことがあるねん]
訊きたいこと?
次の聖音のメッセージを待つ。
[イエスプのキャプテンなんやけど、この間の日曜日の夜、どこにおったかとか知らんやんな?]
キャプテンの居場所?
何故、そんなことを聖音が気にするだろう。百瀬は質問の意図がわからない。
それでも、とりあえず聖音の質問に答えようと、百瀬は記憶をたどる。
だが、日曜日はキャプテンである
[知らない]
また一言だけ返信した。
しばらく間が空いて、聖音からメッセージが届く。
[ももせ大丈夫? なんか元気ないな。何かあったん?]
聖音は百瀬の微妙な変化に気づいたようだ。
余計な心配をかけてしまった。
[別に何もないよ]
[心配させたならごめんなさい]
百瀬は聖音に謝罪する。
するとすぐさま聖音から返事がきた。
[それならよかったわ。何があってもうちはももせの味方やからな!]
その聖音のメッセージを読み、百瀬の頬を一筋の涙が伝う。
初めて出会ったときも聖音は百瀬の味方だった。
聖音は辛い状況にあった自分を救ってくれた。
あのときの嬉しさを思い出す。
[きよねっち、大好き]
百瀬は感謝で震える指で、そうメッセージを打ち込み、聖音に送った。
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