俺TUEEEE?俺TUEEEE??
「すごいですよ!
^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^
【名前】 門鳴 結花
【性別】 女
【年齢】 不明;18〜21(推定)
【レベル】 1
【ステータス】
体力:120
知力:99800
筋力:140
魔力:2000
俊敏:110
防御:130
器用:60
幸運:110
スキル なし
^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^
知力は相変わらず高く、その上魔力が2000と、奇仁の250倍である。
(―ふむ。そういえばこれ有効数字何桁なのだろうか?)
少しだけ数値を気にし始めた奇仁であった。
「魔力と知力を除けば少し優秀くらいなのですが、初期魔力値2000は凄いですよ!もしかしたらネイピア初の高ランク、高クラス冒険者になれるかもしれませんよ!」
「え!?私が俺TUEEEE!?
「ん、あーそーだな。俺つえー俺つえー」
奇仁は俺TUEEEEが何であるのか聞くのはもう諦めていた。
「おすすめの職種ですがまずこの圧倒的な魔力値を活かした
「奇仁!何がいいと思う!?ハイウィザードかな!それとも闇魔道士?」
「おい、待て今そんな候補上がってなかったぞ」
「とりあえず魔法使いでお願いします!」
「かしこまりました!」
そう言って受付のお姉さんは一度カードを手元に戻し、何かの記入とスタンプを押して結花に手渡す。
「で、ギルドの説明なのですが……」
受付のお姉さんはモンスター討伐後の申請、魔石売却方法、依頼の仕方や受け方などを主に結花を見て説明をした。
(―なんかこのお姉さん結花にしか目合わせてなくないか?)
「説明は以上になります」
お礼を言って二人が立ち去ろうとすると周りには冒険者らしき人たちが集まっていた。
―ほら嬢ちゃん。未来の英雄への投資だ。受け取ってくれ
―俺からも受け取ってくれ
―私からも
・・・・・
結花
「あと、姉ちゃん。この嬢ちゃんにギルド武器渡してやったらどうだい?」
「あ!それはいいですね!」
と言って受付のお姉さんはギルドの受付の奥へ向かう。
「お前一躍人気者だな。って聞いてるのかぁ?」
結花は自分のギルドカードを上に掲げ、見上げるようにして眺めていた。
暫くしてギルドのお姉さんは奥から何やら長い木の棒を持って戻ってきた。
「結花さん!この杖を使ってください!」
受付のお姉さんは130cmくらいある薄茶色の木製の杖を結花に手渡した。
「なんですか、これ?」
「それはネイピアのギルド武器です。優秀な冒険者とかに送られるのですが、すでに魔力値2000あるのでそれに匹敵するとギルドは考え贈与致します!あと先程の登録料も免除で構いません。ギルド長に自腹を切らせ、切りましたので。だからこの、メダルオブジパング?も返しますね」
「メダルオブジパング?」
「ああ。こっちの話だ。ははは。それより良かったじゃねぇか!色々持て囃されて」
奇仁はすぐにその「
「そ、それより結花。早速何か依頼を受けようじゃないか」
「そうね!」
結花と奇仁は依頼書のある掲示板へ向かう。
結花はそのうちの1枚を剥がし取る。
「これにしよう!スライム討伐!報酬もそこそこ高いし!」
「スライム?あのどろどろした有機物か?」
「まあそんなもんよ」
「それってボスとかそういうのじゃないよな?」
「違うわよ。有名な最弱モンスターよ。いくら私が強くてもそのパートナーが弱すぎるからねぇ…」
奇仁は少し癪に障ったが数字は嘘をつかないので何も言い返せない。
結花は依頼書を引っ剥がしやる気満々に小走りにギルドを出て行く。
「お、おい……」
大学では振り回す側であった奇仁ではあったが、異世界ではそうでもないようだ。
「お、兄ちゃん。初陣かい?何討伐しに行くんだい?」
ギルドにいたごっつい、いかにも強そうな男が奇仁に話しかける。
「スライムだ。どんな奴なんだ?」
「ああ。俺は見たことねえが聞いた話によると……」
☆ スライムを討伐せよ ☆
二人は大きな何もない野原にやってきていた。
低木の裏に隠れて、その隙間から目標を視察する。
「ほら、奇仁。あれがスライムよ。あの青いの」
碧野原 青いぶよぶよ ソリッドゾル (字余り) 嵯峨乃奇仁
「凄いなあの動き。ゲル、なのか?」
スライムは時々流体のように動いていた。
「それは知らないわ。でもそうじゃない?」
「で?どう倒すんだ?」
「そりゃあ、私の魔法で一撃よ!」
「使い方知ってるのか?」
「い、いやぁ。とりあえずやってみるわ」
結花は杖を高く掲げ、「ヴォルケイノォオオオオ!!!」と叫ぶ。
「・・・・・・」
「何も起きねぇじゃ…」
その次の瞬間、
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴォオオオ
「おいおいおいおいおい、待て待て。このエネルギーはどっから…」
ズドーン!!!!!
いかにも平和そうな野原に超火力の炎魔法が放たれた。
「おい!結花!加減を考えろ!白衣が真っ黒になったじゃないか!」
燃えカスやら何やらが二人を襲っていた。
「だって私器用が低いんだもーん!それよりすごくない!?見た!?あれ私がやったんだよ!?これがチートってやつだよ!」
「チート?ああ、ずるか。そうだな。地形が変わったんじゃないか?国土地理院に怒られるぞ?」
スライムのいた野原の部分には直径50mほどの大きなクレーターのようなものができていた。
「ここは異世界なので国土地理院はありませーん!!ふふふふ。討伐完了ね」
☆ スライム討伐完…
「いや、なんか集まってきたぞ」
「ゑ?」
スライムの欠片らしいものが集まり、元の姿に戻る。
「会合コロイドだな!ははは」
「誰がうまいことを言えと?てか何よあれ!スライムのくせに!」
真っ黒の結花は文句を言う。
「ああ、言ってなかったんだがスライム討伐は厄介らしいぞ。物理攻撃は効かねぇらしいし、八つ裂きにしても再生するらしいぞ。今目の前で確認したがあれはやばいプラナリアだな」
そうこの世界のスライムは雑魚モンスターではあるものの、倒すのにはとても苦労するのだ。iPSのSはスライムの略なのではないかと京都に聞きに行きたくなった奇仁であった。
「それを先に行ってよ、もう!じゃあどうすれば勝てるのよ!」
「それは知らん。だが俺に考えがある」
奇仁は黒い白衣のポケットからプラボトルを取り出す。
「それは?」
「1.0mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液だ。ギルドの奴に聞いたところやつは鉄剣を溶かすらしい。つまるところ酸性だな」
そう言うと奇仁はスライムの方へ走って行く。
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
水酸化ナトリウム(NaOH)は強塩基性の物質で固体は潮解性を示し空気中の水と反応します。
タンパク質を侵すので皮膚についたらすぐさま流水で洗い流しましょう。ちなみに手がぬるっとしていたらついてます。
塩基として、酸と反応して中和反応を起こします。
ex) 塩酸との反応(aqは省略)
NaOH+HCl→NaCl + H2O
工業的製法はイオン交換膜法です。
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
(ーなに、今の解説?)
「ええ、ちょっと近づいちゃって大丈夫なの?」
「ああ。ここのはすごい大人しい習性らしいし、お前の爆発を食らっても馬鹿みたいに呑気だからな」
奇仁はスライムの手前1mのところまで来たがスライムは大人しさの塊である。
「近くで見ると思ったより大きいな。まあいいか」
奇仁はそのまま水酸化ナトリウム水溶液を少量かける。
するとスライムは若干小さくなる。何かキュルルンと鳴いたがそれでもスライム側から攻撃はしてこない。
「ふふふふふ。見ていろ、結花」
結花は固唾をゴクリと飲む。
奇仁は手をクロスさせ、ボトルの蓋を流れるような動作で開く。
「ニュートラリゼーション!!!」* Neutralization:中和
今度はどばどばスライムに水酸化ナトリウム水溶液をかけている。
「ああああ、見る見る溶けてくよ…異世界来てもこれだもん…」
そしてスライムは討伐されたのだった。
☆ スライム討伐完了! ☆
「ふむ。応用すれば中和滴定に使えそうだな」
奇仁はスライムから取れた魔石を回収した。
「とりあえず討伐したし帰ろうか」
△ギルド
「ええ!?スライムを討伐されたのですか!?」
お姉さんはこの驚きようだ。
「そんなに強いモンスターだったのか?」
「強いわけではないんですけど倒すのが困難で。だから討伐難度Dクラスのモンスターなんですよ。剣は溶かされちゃうし、ばらばらになっても集まって復活するし。普通は大人数でパーティを組んで総攻撃してやっと討伐できるものなのですよ」
ギルドのお姉さんは奇仁に報酬を渡す。
「そうなのか。その、クラスってのはなんだ?」
「はい。モンスターと冒険者にありまして…」
クラス・・・相対的な値でFクラスからSクラスまである。年間のモンスター討伐量、依頼達成量、高クラスのモンスターを倒すことで上昇するが簡単には上がらない。ネイピアの冒険者の殆どがEクラスからDクラスである。
モンスターの討伐難度もこのクラスを慮って決められている。
ランク・・・絶対的な値で、一定の基準のモンスター討伐、ステータスで決定される。ちなみにスライム討伐で奇仁は1であるが結花は初期値が高いため3である。
「では、ステータス更新をしておいてくださいね」
――奇仁はレベル6に上がった!――
――スキル【ランダムエレメント】を会得した!――
(―なんだこのチープ感)
――結花はレベル2に上がった!――
「なんで私のレベル全然上がってないのよ!」
「だってお前結局地面に大穴開けただけで何もしてないじゃん。しかも白衣を黒衣にして」
「うぐ、確かに…」
「てかなんだこの、スキル?」
【ランダムエレメント】
ランダムに周期表にのっている元素の単体を取り出せる。取り出せる単体は魔力値がその原子番号以上であるもののみである。
奇仁の現在の魔力値は9であるため、フッ素まで取り出せる。
「はぁ?質量保存の法則どこいったぁ?」
「核反応とかじゃない?」
「そんなことできないだろう」
以下、理系の会話が続く。
「ところでいくらもらえたの?」
「20,300ペクニアだ」
奇仁は結花にその半分の10,150ペクニアを小袋に入れて渡す。
「この世界には紙幣というものがないのかしら」
すべて硬貨のため嵩張るのだ。
「兌換紙幣さえもなさそうだな。とりあえず、帰るか」
「え?どこに??」
「そりゃあ、研……あぁ、そっか…」
マッドサイエンティストinアナザーワールド 〜奇人科学者異世界生活初日でホームレスになる?〜
「じゃねぇよ!!!」
「え?どうしたの奇仁?いきなりじゃねぇよ!!!とか叫んで」
「とりあえず泊まるところ探すぞ。俺は異世界でもQOLは求めるからな!!」
と言って奇仁はギルドの受付の方へ向かった。
マッドサイエンティストinアナザーワールド〜奇人科学者とうとう異世界に転移してしまう〜 菟月 衒輝 @Togetsu_Genki
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