生きているからこそ、わたしたちは物語を想像できる

作者さんの参加した企画は「1時間の間だけでできた物語を共有する」というもの。
多くが一話完結の短くもその創造性と感性を織り交ぜた作品が並ぶなか、「1時間の間で何を考えていたのかまとめてみた」と恐らく企画者ですら思いつかなかったであろうテーマで物語を作ったというので見てみた。

この物語で描かれるのは作者さんがどんな物語にしようかとまるまる1時間かけて頭を巡らすというもの。フィクションでありながら、ノンフィクションでもあるような作風で描かれる世界は何一つ代わり映えしない日常風景そのもの。
しかし、そこにこの物語の可能性があるという風に私は思う。
皆各々に1時間という短い時間の中でキャラクターや世界観とそこで起きる展開を考え、文字に起こしてくれている。私たちが見て面白いと感想を書き、レビューをつけるのはその作品についてだが、きっと物語としての面白さを秘めているのはそこだけではないはず。
物語を想像する作者の過ごす、たったの1時間の間にも十分魅力はあるのだとこの作品は教えてくれていると感じる。

わたしたちはどうして物語を生み出せるのか。
それは私たちが生きていて、その毎秒毎秒に物語になりうる魅力が詰まっているからかもしれない。
そんな発見をくれて、どうもありがとう

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