第6話 変化
「キラ様、どこに行かれていたのですか?
キラ様と別れた後、すぐに学園へ来たと言うのに、どこを探してもいらっしゃらないから心配しましたよ!!」
教室へ入るなり、サイルが声を荒げながら近づいてきた。
「僕は、サイルと違って瞬間移動ができないから仕方ないよ。」
いつものように皮肉を言って軽くあしらい、サイルの横をすり抜けようとすると、いきなり腕を掴まれた。
「うわっ!!何するんだよ!!」
驚きのあまり、声が出てしまった。
「キラ様、目が……。」
サイルは、まじまじと僕の目を凝視し、焦りの表情を浮かべている。
「僕の目がどうしたって言うんだよ。」
「い……一旦、場所を変えましょう。」
サイルが声を潜めて言うと、僕の腕を掴んだまま教室の外へと引っ張っていく。
抗おうとするが、力が強すぎて振り払うことができない。
「どこまで行くんだよ!!」
気づけば、校舎裏まで連れてこられていた。
「ここまでこれば、大丈夫でしょう。」
サイルはようやく僕の腕から手を離した。
いきなり、こんなことするなんて何考えてるんだ。
ジンジンと痛む腕をさすりながら、サイルを睨みつけた。
無言の抵抗というやつである。
「キラ様、申し訳ございません。
ただ、これは一大事と思いまして。
一度、ご自身でお確かめください。」
サイルはそう言うと、目の前に手を突き出した。
サイルの合図とともに、何もなかったはずの虚空に、突如大きな鏡が現れた。
そこに映る自分を見ると、いつもと何か違和感がある。
あれ、なんだろう。
よく見ると、目の色や模様が変わっている。
今までは、我ながら惚れ惚れするほどの綺麗な赤だったのに、とても濃い赤に変わっている。
それでいて、この模様はどこかで見たことあるような……そうだ、ルーンの瞳と同じだ。
ドラゴン特有の模様が、僕の目に現れている。
「キラ様、この短時間で一体何があったのですか。
瞳の色は、生まれつきのもので、色が変わるなんて聞いたことがありません。
それに、これほどまでに濃い赤を持つ方は今まで見たことがありません。
しかも、ドラゴンと同じ模様の瞳に変化するなんて……この状況で何もなかったなんて言いませんよね?」
サイルの圧に押され、後ろに退く。
「まぁ、少しは変わったことはあったけど。」
「何があったんですか?
教えてください。
一人で抱えるより、二人で抱えた方が良い解決策が見つかるかもしれませんよ。」
誰にも言うつもりはなかったけど、サイルの言うことにも一理ある。
この目の状態で他の人に見られでもしたら、大きな問題になっていただろう。
今後どうするかも踏まえて対策も必要だ。
こんな時、やはり優秀なサイルの知識は役に立つ。
僕は、ルーンと会話ができるようになったことや、ルーンとの契約について、一部始終をサイルに話した。
神と魔王とその狭間 そら @soratokumo
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