第4話

僕には双子の兄がいた。

二卵性なのにとてもよく顔が似ていた。喧嘩はしょっちゅうだったけど、いつも一緒だった。ずっと続くと思ってた。


でも、違った。殺された。暁穂足と言う人に。僕らはずっと一緒だったはずなのに、僕はその人を知らなかった。正確には、中学に入り、目に見てなくてもそれぞれ違う道を歩みだしたのだ。


目の前が真っ暗になった僕に警察は言った。


2人の仲は良かったと。ふとした喧嘩から起きた不良の事故だと。暁は少年院に3ヶ月いると。


3ヶ月で償える罪で兄を失ったのが、悲しかった。どうすれば良いのか分からなかった。


ふと兄の棚を見ると鍵が置かれていた。そのそばには“穂足と探偵になる時用”と書かれていた。



「全ては僕が仕組んだんです。理由は…言わなくとも分かるでしょう?僕はたった3ヶ月でその人がどうなったのか知りたかった。だから同じような状況で違う立場にあなたを配置した。あなたは通報しようとしないと思っていた。でも僕に話そうとした」

「何でそれを…?」

「それです」


実島…実島文也が指差す先を見ると盗聴器がくっついていた。


「いっつもそのコート着てるでしょう」

「そうですね、文也さん」

「……ああ、やっぱり兄から名前を聞いてましたか。名前、言わなくて正解でした」

  

たしかに。名乗る時名字しか言わなかった。違和感なかったが。


「少し期待していたんです。未だに更生していなければ、警察が少年院に3ヶ月しか入れなかったからだって。警察とあなた、暁さんを憎めたのに。でも、期待はずれでした。変なことしてすみませんね」


文也はふふっ、と最後に笑った。


「探偵さん。次もお願いします」


そう言って、文也は事務所を出ていった。



自分がどんな気持ちなのか、自分でも分からなかった。ただ、何か安心した自分がいた。

文也の最後の笑みで何が救われた気がした。



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警察さんの探偵裁判 @isii-asuka

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