我將(引用13:天の文王に誓う)

我將がしょう



我將我享がしょうがきょう 維羊維牛いよういぎゅう

維天其右之いてんきうし

儀式刑文王之典ぎしきけいぶんおうしてん 日靖四方じつせいしほう

伊嘏文王いかぶんおう 既右享之きうきょうし

我其夙夜がきしゅくや 畏天之威いてんしい

于時保之うじほし

 我、いまここに羊と牛とを捧げ、

 天を奉らん。

 天よ、我が治世を助けられよ。

 文王の定められた規範に基づき、

 日々四方を安んぜよう。

 なんとも偉大であるか、文王の徳。

 我らを助け、この祭祀をも

 受け取られるのであろう。

 我は朝な夜な、

 常に天の威徳を重んじ、

 そして維持せんと務めるのである。




○周頌 我將

精勤を天に誓う祝詞、と言った装いであるな。成王が王位に就いたときに周公旦や邵公奭が彼のあまり政務に熱心でなかったところにだいぶ気をもんでいたことからすれば隔世の感ではある。無論この祝詞が書かれた段階では、「言わされた」「歌わされた」だけなのやも知れぬが。




■天の道理を損ねるものは滅ぶ

文公四年では大事にすべき外国から迎える妻を蔑ろに扱ったので、そういうことをするものは滅ぶ、と孔子が言っておる。


・左伝 文公4-4

 貴聘而賤逆之,君而卑之,立而廢之,棄信而壞其主,在國必亂,在家必亡。不允宜哉。『詩』曰:「畏天之威,于時保之」,敬主之謂也。

・左伝 文公15-11

 詩曰,胡不相畏,不畏于天,君子之不虐幼賤,畏于天也,在周頌曰,畏天之威,于時保之,不畏于天,將何能保,以亂取國,奉禮以守,猶懼不終,多行無禮,弗能在矣

・漢書81 孔光

 詩曰:『敬之敬之,天惟顯思,命不易哉!』又曰:『畏天之威,于時保之。』皆謂不懼者凶,懼之則吉也。

・後漢書 五行三

 殆陰下相為蠹賊,有小大勝負不齊,均不得其所,侵陵之象也。詩云:「畏天之威,于時保之。」

・三國志2 曹丕

 昔堯、舜禪於文祖,至漢氏,以師征受命,畏天之威,不敢怠遑,便即位行在所之地。

・晋書6 司馬睿

 予一人畏天之威,用弗敢違。

・晋書22 楽上

 祐享有晉,肇庶戴之。畏天之威,敬授人時

・宋書16 礼三

 四海不可以無主,率土式望,在備一人。備畏天之威,又懼漢邦將湮于地。

 天序不可以無統,人神不可以曠主,炎虔奉皇運, 畏天之威,敢不欽承休命,敬簡元辰,升壇受禪,告類上帝,以永答民望,敷佑萬國。

・宋書20 楽二

 祐享有晉,兆民戴之。畏天之威,敬授民時。




■四方を安んじる

よき政により、四方が治まる。そのことを望む言葉である、と言えよう。そしてやはりここでも楽志における採用が見え、「頌」が他の詩以上に「歌」としての言葉なのだな、と改めて感じる次第である。


・左伝 昭公6-3

 將以靖民.不亦難乎.詩曰.儀式刑文王之德.日靖四方.又曰.儀刑文王.萬邦作孚.如是何辟之有.民知爭端矣.

・漢書23 刑法

『詩』曰:『儀式刑文王之德,日靖四方。』又曰:『儀刑文王,萬邦作孚。』如是,何辟之有?民知爭端矣,將棄禮而徵於書。

・晋書22 楽上

・宋書20 楽二

 宣文蒸哉,日靖四方。永言保之,夙夜匪康。




毛詩正義

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