烈文(引用11:先王の示す道に従う)
文武に功ある、我が諸侯らよ。
我が家の祖霊が、そなたらに
幸福を賜るであろう。
祖霊らは我に限りなき
恵みを与えてこられ、
子々孫々、保ち置いている。
諸侯らよ、そならたが
規範に違いさえせねば、
王たる我はそなたらを尊ぼう。
諸侯らの先祖が、先王とともに
なした功績を思う。
諸侯らよ、先祖の業を受け継ぎ、
更に功を大いなるものとせよ。
どうして競わずにおれよう。
そなたらの尽力により、
周囲の人々はそなたらに
従うようになるのだ。
先王以来の徳が、
明らかにならぬはずもあろうか。
こうして百官もまた
国に従うようになるのだ。
ああ、偉大なる先王らの徳、
忘れずにおりたいもの。
○周頌 烈文
臣下とともに歩まんとする王よりの歌、と言ったところであろう。ちなみに詩序等では二代目成王が歌ったものとする。成王は即位当初こそ放蕩っぽかったが、後に王としての自覚が芽生えたのかな。もっともこの手の歌は、王の本心なぞシカトして体裁、名目のみで歌われるのが常なのであろうがな。
■司馬師さましゅごい
・晋書22 楽上
・宋書20 楽二
烈文伯考,時維帝景。夷險平亂,威而不猛。
文武に功績を挙げた皇考(皇帝の父)の伯(兄)=司馬炎の伯父、司馬師が各地のまつろわぬ者を打ち倒したが、そこで威厳はあっても猛々しくはなかった、と讃える詩の一節。詩のタイトルが四廂樂歌・食舉樂東西廂歌であり、祭祀のあとの宴会などで歌われる感じなのであろうかな。
■天の恵みは限りなく
だいたいは楽志、平たく言えば皇帝の徳を讃える歌たちに使われる。左伝では晋の士大夫、叔向が誰憚ることもなく、まっすぐに国を治めるための正論をといていたことを讃える言葉の中に用いられておる。国のために直言できる者には天よりの恵みがあり、子々孫々栄えるであろう、と言うのである。
・左伝 襄公21-7
詩曰.惠我無疆.子孫保之.書曰.聖有暮勳.明徵定保.夫謀而鮮過.惠訓不倦者.叔向有焉.社稷之固也.
・晋書22 楽上
・宋書20 楽二
本支克昌,資始開元。惠我無疆,享祚永年。
・宋書20 楽二
邁德垂仁,係軌重光。天命純嘏,惠我無疆。
■長安マジ栄えまくり
後漢書40.1 班固上 西都賦
於是既庶且富,娛樂無疆,
班固と言えば漢書であるが、他にも「両都賦」という、洛陽長安の繁栄を詠った賦もものしておる。ここで歌われるは西都、長安。その冒頭近くで長安の様子を描く。長安城内には人も多く、娯楽も「数限りなく」ありますよ、と語るのである。
■臣下は競い合う
臣下が功を競い合うことで、国威は増す。まことその通りであろう。ただ無能に競い合わせてもガラクタしかできぬのでな。やはり我一人あればよい(→国史の獄)。
・左伝 昭公1-6
棄人也夫.人可棄乎.詩曰.無競維人.善矣.
・左伝 哀公26-10
今君再在孫矣.內不聞獻之親.外不聞成之卿.則賜不識所由入也.詩曰.無競惟人.四方其順之.若得其人.四方以為主.而國於何有.
・晋書22 楽上
・宋書20 楽二
無競維人,王綱允敕。君子來朝,言觀其極。
毛詩正義
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