卷阿(引用5:王と臣下がむつみ合う)
曲がりくねった大きな丘に、
南よりひゅうひゅうと風が吹く。
和らぎ楽しむ君子は丘に遊び、歌う。
連なる音が、山野に満ちる。
徳高く創意にあふれる王よ、
よく楽しまれよ。
よく楽しみ、よく安らがれよ。
和らぎ楽しむ君子よ、
その終生にて、先代の威徳を継ぎ、
まっとうなされよ。
王の治める地は広くも秩序に満ち、
また仁徳に厚い。
和らぎ楽しむ君子よ、
その終生を全うされれば、
神々は王を見守られよう。
王が授かられた天命は長きにわたる。
天よりの祝福は、王の御身にある。
和らぎ楽しむ君子よ、その終生にて、
末永く祝福を受け取られよ。
王には頼るべき補佐がおり、
よく助ける臣下がおられる。
孝徳に満ちたものがある。
彼らを引き立て、扶翼とされよ。
和らぎ楽しむ君子を
周辺国家は規範とする。
王は恭しくも徳に満ちておられ、
温かく柔らかくも、高邁である。
その誉れは、遠方にまで聞こえている。
和らぎ楽しむ君子は、
周辺国家をよくつなぎ止められる。
鳳凰が翼をはためかせ、飛ぶ。
そこに数多の鳥たちが続く。
鳳凰が留まれば、鳥たちも集まる。
まこと王の側の賢人たちのよう。
そんな彼らが、王に忠誠を誓うのだ。
鳳凰が翼をはためかせ、飛ぶ。
そこに数多の鳥たちが続く。
彼らは高く天にいたる。
王のおそばにある賢人らもまた、
鳥たちのごとく飛躍する。
ひとたび王が命じられれば、
彼らは民のために働きを示す。
鳳凰が丘の上で鳴く。
よく日の当たる斜面には、
アオギリが生える。
鳳凰はアオギリの側にのみ暮らす。
ならばアオギリの盛んなるは
賢人らの盛んなるに等しい。
鳳凰のやわらかなる鳴き声は、
君子と賢人とが和するかのよう。
丘に向かわれる王が
引き連れられる車は種類も数も多く、
車を引く馬も訓練が行き届き、健脚。
多くの詩が歌われよう。
みなで、ともに歌い合おう。
○大雅 卷阿
成王が丘のふもとにまで周遊に出た折の賑々しきさまを歌うもの、とされる。ところで作者のように人と関わりたくないでござる関わるならタイマンか少数がいいでござる派(おそらくマルクス・アウレーリウス・アントニヌスもその手合いであろう)にとってはそんなもの地獄以外の何物でもないのだが、この辺りは、まぁ「開かれた地を運営する」上で多くの者と交われる性分のものこそが運営にあたって強いことを示すのであろうな。なので斯様なる「大規模な遠足」の話を見た後には自省録にある「自分の内を見よ。内にこそ善の泉があり、この泉は君がたえず掘り下げさえすれば、たえず湧き出るであろう」を引き、胸に納め、心安らがせるのである。
■既存引用
吉士→召南野有死麕
毛詩正義
https://zh.wikisource.org/wiki/%E6%AF%9B%E8%A9%A9%E6%AD%A3%E7%BE%A9/%E5%8D%B7%E5%8D%81%E4%B8%83#%E3%80%8A%E5%8D%B7%E9%98%BF%E3%80%8B
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