公劉(偉大なる先祖のひとり、公劉)
篤実なるお方、后稷のひ孫、公劉。
己が立場に安住なさらず、
常に民のため、を心がけておられた。
田畑を見回り、区画を定め、
人々とともに稲穂を積み、
また倉にしまう作業を手がけられた。
別の地に引っ越すことになっても、
皆とともに荷造りをし、旅立った。
新たな地でも大いに人々を盛り立て、
また外部からの脅威がないかどうか、
自ら弓矢を持ち、矛を取り、
遠征に出られるのだ。
公劉、篤実なるお方。
新たな地を偵察して回られる。
その姿に多くの者が惹かれ、導かれ、
付き従うようになる。こうして人々は
新たな地を安住の地とする。
その間にも公劉は
山に登り、原野に降り、
より暮らしに適した地はないか、
と探し求められた。
その身に帯びる飾り物や宝剣が、
きらびやかに輝く。
公劉、篤実なるお方。
周辺にある泉の水が
涇水に流れ込むのを見、
周辺が平原に恵まれているのを見る。
南にある丘から、京の地を見晴らす。
その地に都を置くべきである、
公劉はそう判断され、造営を開始。
人々は集まり、旅人たちも立ち寄る。
京の地で、人々は談笑する。
公劉、篤実なるお方。
京の地を拠点とされ、
都の完成を祝う宴で皆をもてなされる。
宴は賑々しくも、規律が行き届く。
むしろを敷き、老弱者には
寄りかかるための机をあてがう。
調理人が豚を締め、場に供じる。
用意された酒も質素な器で飲む。
こうして人々をもてなされた公劉は、
改めて彼らの君主、主となった。
公劉、篤実なるお方。
京を起点に周辺の開墾をお進めになる。
日差しの影の落ち方を見たり、
岡に登って天の北極の位置を確かめ、
また泉の流れから水利計画を立てる。
人々を三つのグループにわけ、
土地の状況に応じて区画をわけ、
それぞれに田畑を切り開かせる。
夕日による影が
どこまで伸びるのかを計測する。
これらにより、豳の地は
豊かになっていった。
公劉、篤実なるお方。
豳の地には、集会を設けられるよう
館をお建てになった。
船でまっすぐに渭水を渡り、
砥石を獲得し、斧を磨き上げる。
こうして定められた拠点には、
多くの人々が集まるようになる。
皇川を越え、過水を渡り、
人々は公劉の下につく。
人口はますます増え、
はじめ境界として定めていたはずの、
芮水の外にまで、人々の住まいが
できるようになっていった。
○大雅 公劉
公劉は周文王の曾祖父である古公亶父の、更に九代前とされるそうである。后稷の子孫としてある程度の封爵地を得てはいたが、そこから「豳」の地に移住、その地の「京」を拠点に定め、周辺の開墾をなし、人々を集めていった、となろうか。古注では周の成王がいざ政に臨まんとしたときに、邵公奭が「昔の偉大なる始祖は、きちんと民を安んじたからこそ栄えたのですぞ」と戒めるためにこの詩を作ったのだ、とされる。ただ後世の説は「まーそんな堅いこといいなや、歌って踊ろうぜ?」的である。
なお公劉を讃える文言は割と史書の至る所に見受けられるのだが、それは史記に書かれているもの扱いと言うことで詩経引用としてはカウントせぬことにする。
毛詩正義
https://zh.wikisource.org/wiki/%E6%AF%9B%E8%A9%A9%E6%AD%A3%E7%BE%A9/%E5%8D%B7%E5%8D%81%E4%B8%83#%E3%80%8A%E5%85%AC%E5%8A%89%E3%80%8B
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます