生民之什(せいみんのじゅう)

生民(引用107:后稷、周の淵源)

生民せいみん



厥初生民くつしょせいみん 時維姜嫄じいきょうげん

生民如何せいみんじょか 克禋克祀こくいんこくし 以弗無子いふつむし

履帝武敏歆りていぶびんきん 攸介攸止ゆうかいゆうし

載震載夙さいしんさいしゅく 載生載育さいせいさいいく 時維后稷じいこうしょく

 周の民の始まりは姜嫄による。

 どのように始まったのか。

 姜嫄はよく祭祀をなした。

 しかし子に恵まれなかった。

 あるとき天帝の足跡が

 残されていたのを見、

 それに己が足を乗せてみたところ、

 福が姜嫄にもたらされ、懐妊した。

 以降姜嫄は身を慎み、

 我が子を養うのにいそしんだ。

 そうして生まれたのが、后稷である。


誕彌厥月たんびくつげつ 先生如達せんせいじょたつ

不坼不副ふたくふふく 無菑無害むさいむがい

以赫厥靈いかくくつれい 上帝不寧じょうていふねい

不康禋祀ふこういんし 居然生子きょぜんせいし

 なんと大なることか。

 十月十日の懐妊を経て、

 さながら羊の出産のごとき安産。

 産後の肥立ちも極めて良好。

 それは天帝の祝福であったと言える。

 どうして天帝が喜ばれないことが

 あったであろうか。

 全ては姜嫄の信心のゆえ。

 故に安産が叶ったのである。


誕寘之隘巷たんししあいこう 牛羊腓字之ぎゅうようひじし

誕寘之平林たんししへいりん 會伐平林かいばつへいりん

誕寘之寒冰たんししかんひょう 鳥覆翼之ちょうふくよくし

鳥乃去矣ちょうのきょいー 后稷呱矣こうしょくこいー

實覃實訏じつたんじつく 厥聲載路くつせいさいろ

 大いなるかな、后稷の誕生。

 はじめ姜嫄はこの子供を

 狭い道に捨て置いてみたが、牛や羊は、

 この子を避けるように歩いた。

 むしろ赤子のために乳まで与えた。

 大いなるかな、后稷の誕生。

 彼を広い林に捨てようとしても、

 人がたくさん来たため叶わなかった。

 大いなるかな、后稷の誕生。

 彼を冷たい氷の上に捨てようとしたが、

 鳥がやってきて、彼を温めた。

 ひとたび鳥が飛び去ると、

 彼はおぎゃあと泣き始める。

 その泣き声は誠に太く大きく、

 辺り一帯に響き渡った。

 まこと、異なる子。


誕實匍匐たんじつほふく 克歧克嶷こくきこくぎ 以就口食いしゅうこうしょく

蓺之荏菽げいしじんしゅく 荏菽旆旆じんしゅくはいはい 禾役穟穟かやくすいすい

麻麥幪幪まばくぼうぼう 瓜瓞唪唪かてつほうほう

 大いなるかな、后稷。

 一度はいはいを始めれば、

 物事を瞬く間に学び、吸収した。

 乳離れも早く、自力で食べ始める。

 遊びでエゴマやマメの種を植えれば、

 その枝葉はすくすくと伸びていった。

 イネやキビの種についても同様。

 アサやムギ、ウリやコウチも、また。

「種から芽が出ること」を、

 誰から学ぶことなく、体得していた。


誕后稷之穡たんこうしょくししょく 有相之道ゆうそうしどう

茀厥豐草はいくつふうそう 種之黃茂しゅしおうも

實方實苞じつほうじつほう 實種實褎じつしゅじつしゅう

實發實秀じつはつじつしゅう 實堅實好じつけんじつこう 實穎實栗じつえいじつりつ

即有邰家室そくゆうたいかしつ

 なんと大いなること。

 やがて成人し、堯舜のもと、

 農務の指導者としての辣腕を振るう。

 雑草を取り除き、五穀を植えさせる。

 よく畝を整え、芽生える環境を保ち、

 穀物は種々豊か、盛んに伸びる。

 穂を付け、花を咲かせ、

 大きく堅き実をつける。

 垂れた穂には、実に多くの

 実りが得られた。

 これらを指導した功績より、

 后稷には邰の地と屋敷が与えられた。


誕降嘉種たんこうかしゅ

維秬維秠いきょいひ 維穈維芑いぼんいき

恆之秬秠こうしきょひ 是穫是畝ぜかくぜぼう

恆之穈芑こうしぼんき 是任是負ぜじんぜふ

以歸肇祀いきちょうし

 なんと大いなること。

 天は良き実りを后稷に恵まれた。

 クロキビ、フタツキビ、

 アカアワ、シロアワ。

 これらの収穫を再び畑にまき、

 畝に連ねる。

 そして収穫し、背負って持ち帰る。

 そして収穫できた感謝を込め、

 祭祀を執り行う。


誕我祀如何たんがしじょか

或舂或揄わくしょうわくゆ 或簸或蹂わくはわくじゅう

釋之叟叟しゃくしそうそう 烝之浮浮じょうしふふ

載謀載惟さいぼうさいい 取蕭祭脂しゅしょうさいし 取羝以軷しゅていいはつ

載燔載烈さいはんさいれつ 以興嗣歲いこうしさい

 なんと大いなること。

 さて、后稷の祭祀は

 いかなるものであったか。

 あるいは穀物を臼で搗き、

 それを取り上げ、糠を箕で選別し、

 また足で踏んで糠を除く。

 シュッシュッとそれらを研ぎ、

 またフツフツと蒸し上げる。

 そして祭祀を行う期日を協議し、

 身を清め、祭祀の準備を行う。

 羊の肉を火であぶり、或いはよく焼き、

 次なる年の豊作を祈る。


卬盛于豆ぎょうせいうとう 于豆于登うとううとう

其香始升きこうししょう 上帝居歆じょうていきょきん 胡臭亶時こしゅうたんじ

后稷肇祀こうしょくちょうし 庶無罪悔しょむざいかい 以迄于今いきつうこん

 后稷は言う。

 この杯に野菜を、

 その大皿に肉を盛ろう。

 ひとたび香りがたちのぼれば、

 天帝も安らがれるであろう。

 その香りはまさに時宜を得よう。

 こうして后稷が始めた祭祀を

 決して罪も悔いもないよう、

 子孫らが継ぎ、

 かくて今に至るのである。




○大雅 生民


周の始祖は后稷である、とされる。これは堯舜の時代にいたとされる名臣の一人で、農業の始祖とされる。なお他の名臣は

 ・禹(治水に功績、後に舜より禅譲され夏の始祖に)

 ・子契(禹の治水事業を補佐、殷王朝の祖先)

 ・皋陶(裁判ごとの始祖とされる)

 ・伯益(皋陶の後を継いだ司法官、趙や秦の始祖とされる)

が挙げられる。ともあれ、后稷が周の民に恵みをもたらしたのが、後の周王の天命につながる、とされるわけである。




■生民、すなわち民


「氓」と同じく、民の雅語として用いられるが、より一般的表現となるために、見事爆発しておる。うん、「民」でいいんじゃないかなそこは……?

いっぽうで晋書がこの言葉をあまり用いておらぬわけであるが、ここは仕方がない。何せ晋書編纂当時の皇帝が李世「民」であるからな。


・春秋 宣公12-6

 吾師必盡.不如收而去之.分謗生民.不亦可乎

・春秋 文公6-12

 閏以正時,時以作事,事以厚生,生民之道,於是乎在矣。

・春秋 文公13-4

 苟利於民,孤之利也,天生民而樹之君,以利之也


・史記13 三代世表

 詩人美而頌之曰「厥初生民」,深修益成,而道后稷之始也。

・史記24 楽

 君子以好善,小人以息過:故曰「生民之道,樂為大焉」

・史記27 評

 自初生民以來,世主曷嘗不暦日月星辰?

・史記60 三王世家

 云并建諸侯所以重社稷,朕無聞焉。且天非為君生民也。

・史記78 春申君

 今大國之地,遍天下有其二垂,此從生民已來,萬乘之地未嘗有也。

・史記79 蔡澤

 以靜生民之業而一其俗,勸民耕農利土

・史記117 司馬相如

 伊上古之初肇,自昊穹兮生民,曆撰列辟,以迄于秦。


・漢書21 律曆

 閏以正時,時以作事,事以厚生,生民之道於是乎在矣。

・漢書23 刑法

 秦人,其生民也骥阨,其使民也酷烈。

・漢書24.1 食貨

 一曰食,二曰貨……二者,生民之本,興自神農之世。

・漢書24.1 食貨

 今關中俗不好種麥,是歲失春秋之所重,而損生民之具也。

・漢書57.2 司馬相如 下

 伊上古之初肇,自顥穹生民。

・漢書64.1 厳助

 陛下以四海爲境,九州爲家,八藪爲囿,江漢爲池,生民之屬皆爲臣妾。

・漢書81 匡衡

 妃匹之際,生民之始,萬福之原。

・漢書97.2 孝成班婕妤

 已獨享兮高明,處生民兮極休。

・漢書99.3 王莽下

 遂令天下城邑為虛,丘壟發掘,害遍生民,辜及朽骨,自書傳所載亂臣賊子無道之人,考其禍敗,未有如莽之甚者也。

・漢書100.1 敍傳上

 精誠通於神明,流澤加於生民

 惟天墬之無窮兮,鱻生民之脢在。


・後漢13 隗囂

 生民以來,臣人之勢,未有便於此時者也。

・後漢40.2 班固下

 於時之亂,生民幾亡,鬼神泯絕,壑無完柩

・後漢49 仲長統

 慾望三公勳立於國家,績加於生民,不亦遠乎?

・後漢51 橋玄

 今天下將亂,安生民,者其在君乎!

・後漢57 劉陶

 食者乃有國之所寶,生民之至貴也。

・後漢80.2 趙壹

 寧計生民之命,唯利己而自足。

・後漢92 律曆 注

 閏以正時,時以作事,事以厚生,生民之道,於是乎在。

・後漢118 百官五 注

 夫聖主御世,莫不大庇生民,承其休謀,傳其典制。


・三國志1 曹操 注

 今天下分裂而州無主;曹東郡,命世之才也,若迎以牧州,必寧生民。

・三國志2 曹丕 注

 舜、禹所不爲也,故生民蒙救濟之惠,羣類受育長之施。

・三國志3 曹叡

 往者桉大辟之條,多所蠲除,思濟生民之命,此朕之至意也。

・三國志5 文昭甄皇后

 詩人頌之曰:『厥初生民,時維姜嫄。』言王化之本,生民所由。

 文昭皇后膺天靈符,誕育明聖,功濟生民,德盈宇宙,開諸後嗣,乃道化之所興也。

・三國志6 董卓 注

 不如早共和解,引兵還屯,上安萬乘,下全生民,豈不幸甚!

・三國志6 袁術

 昔秦末世,肆暴恣情,虐流天下,毒被生民,下不堪命,故遂土崩。

・三國志8 公孫瓚 注

 遂躍馬控弦,處我疆土,毒遍生民,辜延白骨。

・三國志8 公孫淵 注

 淵生有蘭石之姿,少含愷悌之訓,允文允武,忠惠且直;生民欽仰,莫弗懷愛。

・三國志9 曹真 注

 今作宮室,斬伐生民墓上松柏,毀壞碑獸石柱,辜及亡人,傷孝子心,不可以爲後世之法則。

・三國志12 毛玠

 今天下分崩,國主遷移,生民废業,饥馑流亡,公家無經歲之儲,百姓無安固之志,難以持久。

・三國志13 王朗

 大魏承百王之極,生民無幾,干戈未戢,誠宜息民而惠之以安靜遐邇之時也

・三國志23 常林 注

 夫禮者,生民之始教,而百世之中庸也。

・三國志24 崔林 注

 生民以來,未有盛於孔子者也。

・三國志28 鍾會

 往者漢祚衰微,率土分崩,生民之命,幾於泯滅。

・三國志29 管輅 注

 夫生民之音曰言,鳥獸之聲曰鳴,故言者則有知之貴靈,鳴者則無知之賤名,何由以鳥鳴為語,亂神明之所異也?

・三國志32 劉備 注

 天降災沴,禍臻鄙州,州將殂殞,生民無主,恐懼姦雄一旦承隙

・三國志38 許靖

 生民之艱,辛苦之基,豈可具陳哉﹗

・三國志38 秦宓

 昔堯遭洪水,鯀所不治,禹疏江決河,東注于海,為民徐害,生民已來功莫先者,此其二也。

・三國志42 郤正

 愍生民之顛沛,此誠聖賢拯救之秋,烈士樹功之會也。

・三國志58 陸抗 注

 振義網以羅強吳,明兼愛以革暴俗,易生民之視聽,馳不戰乎江表。

・三國志63 評 注

 自中原酷乱,至于建安,数十年间,生民殆尽,比至小康,皆百死之餘耳。

・三國志65 賀邵

 德化不修,法政苛酷,毒流生民,忠臣杜口,是以一夫大呼,社稷傾覆。

・三國志65 華覈

 天下未平,百姓不贍,宜一生民之原,豐谷帛之業。


・晋書26 食貨

 鄉無遊手,邑不廢時,所謂厥初生民,各從其事者也。

・晋書31 文明王皇后

 厥初生民,樹之惠康。帝遷明德,顧予先皇。



・宋書2 武帝中

 自篇籍所載,生民以來,勳德懋功,未有若此之盛者也。

 阜財利用,繁殖生民,編戶歲滋,疆宇日啟,導德明刑,四境有截。

・宋書3 武帝下

 因革殊事,若乃功濟區宇,道振生民,興廢所階,異世一揆。

・宋書5 文帝

 尼父德表生民,功被百代,而墳塋荒蕪,荊棘弗翦。

・宋書13 歷下

 時以作事,事以厚生,此乃生民之所本,曆數之所先。

・宋書13 歷下

 誠未覩天驗,豈測曆數之要,生民之本,諒非率意所斷矣。

・宋書16 礼三

 以顯帝王之功,布生民不朽之觀也。

 臣聞肇自生民,則有后辟,載祀之數,莫之能紀。

 必有曆運之期,天命之應;濟生民之大功者,必有盛德之容,告成之典。

・宋書19 楽一

 敦彼行葦,猶謂勿踐,矧伊生民,而不惻愴。

・宋書21 楽三

 生民百遺一,念之絕人膓。

・宋書22 楽四

 蚩尤亂生民,黃帝用兵征萬方。

・宋書27 符瑞上

 精誠通于神明,流澤加於生民。故能為鬼神所福嚮,天下所歸往。

・宋書33 五行四

 是時天下兵亂,漁獵生民,存亡所繫,唯司馬越、苟晞而已,而競為暴刻,經略無章。

・宋書79 文五王

 陛下如復隱忍,未垂三思,則覆皇基於七百,擠生民於塗炭。

・宋書95 索虜

 皇極肇建,實膺神明之符,生民初載,實稟沖和之氣。

 鄴、洛為蜂蛇之藪,縱毒生民,虐流兆庶,士女能言,莫不歎憤。

・宋書99 元凶

 四海崩心,人神泣血,生民以來,未聞斯禍。

・宋書99 評

 難興天屬,穢流牀笫,愛敬之道,頓滅一時,生民得無左衽,亦為幸矣。


・魏書4.1 拓跋燾上

 使生民貧富不均,未得家給人足,或有寒窮不能自贍者,朕甚愍焉。

・魏書7.2 元宏下

 又夫婦之道,生民所先,仲春奔會,禮有達式,男女失時者以禮會之。

・魏書7.2 評

 生民所難行,人倫之高迹,雖尊居黃屋,盡蹈之矣。

 若乃欽明稽古,協御天人,帝王制作,朝野軌度,斟酌用捨,煥乎其有文章,海內生民咸受耳目之賜。

・魏書9 元詡

 先賢列聖,道冠生民,仁風盛德,煥乎圖史。

・魏書12 元善見

 及正光之季,國步孔棘,喪亂不已,寇賊交侵,俾我生民,無所措手。

・魏書38 刁雍

 轉至沃野,越度大河,計車五千乘,運十萬斛,百餘日乃得一返,大廢生民耕墾之業。

・魏書41 源懷

 于時賢哲,思造化之至理,推生民之習業。

・魏書41 源子恭

 書契之重,理冠於造化;推尊之美,事絕於生民。

・魏書52 宗欽

 恢恢玄古,悠悠生民。五才迭用,經敍彝倫。

・魏書53 李安世

 廣平人李波,宗族強盛,殘掠生民。

・魏書60 韓顕宗

 有國有家,必以刑法為治,生民之命,於是而在。

・魏書67 崔鴻

 伏惟高祖以大聖應期,欽明御運,合德乾坤,同光日月,建格天之功,創不世之法,開鑿生民,惟新大造。

・魏書68 甄琛

 苟益生民,損躬無吝,如或所聚,唯為賑恤。

 且稅之本意,事有可求,固以希濟生民,非為富賄藏貨。

・魏書72 路思令

 致使賊徒更增,膽氣益盛,生民損耗,荼毒無聊。

・魏書74 爾朱栄

 功格天地,錫命之位必崇;道濟生民,褒賞之名宜大

・魏書78 張普恵

 殖不思之冥業,損巨費於生民。

・魏書84 儒林序

 自晉永嘉之後,運鍾喪亂,宇內分崩,羣凶肆禍,生民不見俎豆之容,黔首唯覩戎馬之跡,禮樂文章,掃地將盡。

・魏書91 張淵 注

 夫陰施陽報,自然之常數;貧窮困死,生民之極艱。

・魏書98 蕭衍

 自晉政多僻,金行淪蕩,中原作戰鬬之場,生民為鳥獸之餌;

・魏書106.1 地形上

 恒代而北,盡為丘墟;崤潼已西,煙火斷絕;齊方全趙,死如亂麻。於是生民耗減,且將大半。

・魏書107.1 律暦上

 大聖通天地之至理,極生民之能事,體妙繫於神機,作範留於器象。

 此四者乃是王者之要務,生民之所由。

・魏書107.2 律暦下

 天下之至王,盡生民之能事,先天而天弗違,後天而奉天時。

・魏書108.2 礼二

 世祖太武皇帝以神武纂業,克清禍亂,德濟生民,功加四海,宜配南郊。

・魏書110 食貨

 晉末,天下大亂,生民道盡,或死於干戈,或斃於飢饉,其幸而自存者蓋十五焉。

・魏書114 釈老

 大人有作,司牧生民,結繩以往,書契所絕,故靡得而知焉。

 自此以來,代經亂禍,天罰亟行,生民死盡

 夫為帝王者,必祗奉明靈,顯彰仁道,其能惠著生民,濟益群品者,雖在古昔,猶序其風烈。

 地上生民,末劫垂及,其中行教甚難。




■天子の祭礼は洛陽でなきゃあかん?


三國志47 孫権 注

毛氏之説云:「堯見天因邰而生後稷,故國之於邰,命使事天。」故詩曰:「后稷肇祀,庶無罪悔,以迄於今。」言自后稷以來皆得祭天,猶魯人郊祀也。


孫権が皇帝に即位した後、天子としての祭礼をなすべきだと臣下より勧められたが却下した。「天下の中央、洛陽を治めていないから」が理由である。しかし裴松之は反論する。「んなこと言ったって周の文王は洛陽で祭礼しとらんけど天命得るとるやん」とのことである。孫権はただ面倒くさかっただけではないのか説。




■偉大なる周の興りは


晋書5 評

昔周之興也,後稷生於姜嫄,而天命昭顯,文武之功起於后稷。


晋書五巻の評では、周の興りと晋の興りとを比較しておる。その文脈の中で周の淵源を語る。「正直晋は偉大だけど周ほどきっちりした基盤の元に生まれてないよねー、まぁ五胡にボコされるのもやむなしだよねー」と語るわけである。哀れ。




毛詩正義

https://zh.wikisource.org/wiki/%E6%AF%9B%E8%A9%A9%E6%AD%A3%E7%BE%A9/%E5%8D%B7%E5%8D%81%E4%B8%83#%E3%80%8A%E7%94%9F%E6%B0%91%E3%80%8B

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