菀柳(こんなところにいられるか)

菀柳うつりゅう



有菀者柳ゆううつしゃりゅう 不尚息焉ふしょうそくえん

上帝甚蹈じょうていじんとう 無自暱焉むじじつえん

俾予靖之へいよせいし 後予極焉ごよきょくえん

 鬱蒼と茂っているのは、ヤナギの木。

 できればその下で憩いたいもの。

 しかしヤナギたるべき王侯が暴虐であれば

 誰もそこには近づきたくないもの。

 かの王のもとで補佐をしても、

 のちのち進退窮まるのであろう。


有菀者柳ゆううつしゃりゅう 不尚愒焉ふしょうかいえん

上帝甚蹈じょうていじんとう 無自瘵焉むじさいえん

俾予靖之へいよせいし 後予邁焉ごよまいえん

 鬱蒼と茂っているのは、ヤナギの木。

 できれば、その下で憩いたいもの。

 しかしヤナギたる王侯が暴虐であれば

 わざわざその下で病みたくもない。

 かの王のもとで補佐をしても、

 結局逃げ出すことになりそうだ。


有鳥高飛ゆうちょうこうひ 亦傅于天えきふうてん

彼人之心ひじんししん 于何其臻うかきしん

曷予靖之かつよせいし 居以凶矜きょいきょうきょう

 鳥が空高く飛び、天に至る。

 かの王のお心など、

 どうして知り得よう。

 このような王を補佐などし得ようか。

 凶事の約束された所になぞおれようか。




○小雅 菀柳


これは清々しいほどストレートな王批判の詩であるな。これなら幽王を謗ると言われても大歓迎である。そして「こんなところにいられるか! 私は部屋に戻るぞ!」とかれは言ってしまった。その後のかれの運命たるやお察しである。




毛詩正義

https://zh.wikisource.org/wiki/%E6%AF%9B%E8%A9%A9%E6%AD%A3%E7%BE%A9/%E5%8D%B7%E5%8D%81%E4%BA%94#%E3%80%8A%E8%8F%80%E6%9F%B3%E3%80%8B

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る