青蠅(引用5:宮中にたかるクソ)
アオバエがあちらこちらに飛び、
生垣に留まる。
穏やかなる君子よ、
讒言を信じることなかれ。
アオバエがあちらこちらに飛び、
イバラに留まる。
讒言をなすものは収まる所を知らず、
周辺諸国を荒らす。
アオバエがあちらこちらに飛び、
ハシバミの生垣に留まる。
飽くことなく続けられる讒言が、
両者の関係を引き裂くのだ。
○小雅 青蠅
……心に邪……いや、こんな「クソハエが飛び回る」的な詩で、本気か孔丘先生……まぁ確かに「全部で305+6作だし、11作まではセーフ!」と言えぬこともない気もせぬではないが……むしろ「幽王批判の詩である」という詩序のブレなさに心落ち着かされたぞ、我は。
■荀勖と馮紞はクソ
晋書38 評
詩云「人之云亡,邦國殄瘁」,攸實有之;「讒人罔極,交亂四國」,其荀馮之謂也。
司馬懿、司馬昭の息子たちの伝がまとめられておる巻で、唐突に叩かれる荀勖と馮紞。というのもこの二人が讒言をなしたために司馬昭諸子のうち明君の誉れ高かった司馬攸は追放され、八王の跋扈を招いた、とするのである。それは実に大雅瞻卬の言う人之云亡,邦國殄瘁であり、また当詩の言う讒人罔極,交亂四國であろう、と嘆くのである。
■さて誰が讒人なんすかね?
宋書44 謝晦
詩不云乎:「讒人罔極,交亂四國。愷悌君子,無信讒言。」
謝晦は劉裕死後に立った劉義符の後見を任されたが、その劉義符を廃位、殺害して劉義隆を立てた。ら、その劉義隆より大逆の罪を問われ攻め立てられ、反旗を翻す。このとき劉義隆の参謀となっていたのが王華、王曇首を始めとする琅邪王氏の重鎮。謝晦は叫ぶのである。当詩に言う讒人とは果たして誰なのですか、と。結局謝晦は攻め滅ぼされた。
■お前みてーなクソは昔からいたよな
宋書84 袁顗
而羣小構慝,妄生窺覬,成軫惑燕,貫高亂趙,讒人罔極,自古有之。
明帝が即位した直後に謀叛を起した宗族、劉子勛。袁顗はその幹部として参加していた。そこに明帝からの書状が届く。要は「おめーいい加減にせーや」である。成軫は漢昭帝の時代の燕王を惑わした佞臣、貫高は楚漢戦争時に劉邦の娘婿で趙王に封じられた張敖の佞臣である。お前のやってることはアイツらと同じだと、当詩を引いて詰ったのである。
■斛斯椿はクソオブクソ
魏書80 評
斛斯椿姦佞為心,讒忒自口,取譬蒼蠅,交亂四國,投於豺虎,天實棄之。
斛斯椿という人物は北魏を裏切って爾朱栄を裏切って北魏を裏切って爾朱兆を裏切って西魏についた。呂布もびっくりである。その上で豺虎、つまり魏書の編者たる魏収属する東魏に敵対する国に逃げ込んだわけである。魏收としてはこのクソ野郎以外のコメントはあり得まい。
■ふわぁ、宮中うんこまみれでござる……
魏書19-2 任城王 元順
膚受既通,譖潤罔極。緝緝幡幡,交亂四國。
元順は北魏後期に中央の国政をグズグズにした大魔王霊太后の時代に活躍した宗室であり、中央のぐずぐずを「蠅賦」というエゲツネー題の賦をなして激烈に批判した。その一節である。おめーらぐだぐだぐじゃぐじゃしやがって、おめーらのせいで国内乱れまくってんじゃねえか、というわけである。なお彼はその後やってきた別の大魔王たる爾朱栄から逃げようとしたところをその辺のアレな鮮卑に殺された。何とも報われぬ末期である。
毛詩正義
https://zh.wikisource.org/wiki/%E6%AF%9B%E8%A9%A9%E6%AD%A3%E7%BE%A9/%E5%8D%B7%E5%8D%81%E5%9B%9B#%E3%80%8A%E9%9D%92%E8%A0%85%E3%80%8B
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