吉日(天子の狩猟風景)

吉日きちじつ



吉日維戊きちじついぼ 既伯既禱きはくきとう

田車既好でんしゃきこう 四牡孔阜しぼこうふ

升彼大阜しょうかだいふ 從其群醜じゅうきぐんしゅう

 吉日を選べば、干支は戊。

 祖霊への祈祷をなし、

 猟のための車と、四頭の馬とは、

 すでに準備万端である。

 さあ、あの大きな丘に登り、

 獲物を狩ろう。


吉日庚午きちじつこうご 既差我馬きさがば

獸之所同じゅうししょどう 麀鹿麌麌ゆうろくごご

漆沮之從しつしょしじゅう 天子之所てんしししょ

 吉日を選べば、干支は庚午。

 馬の選定も万全である。

 獣の集まるところには、

 またシカのつがいも訪れよう。

 漆川、沮川のあたりにより、

 天子の待つ地まで、

 シカ達を追い立てる。

 

瞻彼中原せんかちゅうげん 其祁孔有ききこうゆう

儦儦俟俟ひょうひょうしし 或群或友いくぐんいくゆう

悉率左右しつそつさう 以燕天子じえんてんし

 あの野原を眺めれば、

 とても広く、獣たちの姿も多い。

 あるいは駆け、あるいは留まり、

 あるいは群れ、あるいはつがう。

 さあ、左右より追い立てよ。

 天子を楽しませるのだ。


既張我弓きちょうがきゅう 既挾我矢ききょうがし

發彼小豝はつかしょうか 殪此大兕えいしだいじ

以御賓客じぎょひんきゃく 且以酌醴しょじしゃくほう

 ここに弓を張り、矢をつがえる。

 小ブタを射、ウシを射る。

 得た獣を賓客に振る舞おう。

 甘酒をふるまい、共に豊穣を祝おう。




○小雅 吉日


吉日を選び、猟をする。詩序は当詩でも宣王の量を歌うとされるが、どうにも当詩にはマンハントの気配も見えて仕方がないな。こ奴ら蛮族は言葉をしゃべるケダモノのつもりでおったろう。ちなみに史書で詩題検索をすると普通に「吉日を選んで~」といった記述ばかりが出るので割愛とした。




毛詩正義

https://zh.wikisource.org/wiki/%E6%AF%9B%E8%A9%A9%E6%AD%A3%E7%BE%A9/%E5%8D%B7%E5%8D%81#%E3%80%8A%E5%90%89%E6%97%A5%E3%80%8B

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