采苓(人の噂も七十五日/讒言を信じるな)

采苓さいれい



采苓采苓さいれいさいれい 首陽之巔しゅようしてん

人之為言じんしいげん 苟亦無信こうえきむしん

舍旃舍旃しゃせんしゃせん 苟亦無然こうえきむぜん

人之為言じんしいげん 胡得焉ことくえん

 アマクサ摘み摘み、首陽山の頂。

 他者のたわごと、信じるに足りぬ。

 放っておけ、放っておけ。

 いつまで言い続けられるものかよ。


采苦采苦さいくさいく 首陽之下しゅようしか

人之為言じんしいげん 苟亦無與こうえきむよ

舍旃舍旃しゃせんしゃせん 苟亦無然こうえきむぜん

人之為言じんしいげん 胡得焉ことくえん

 ニガナ摘み摘み、首陽山の麓。

 他者のたわごと、取り合うに足りぬ。

 放っておけ、放っておけ。

 いつまで言い続けられるものかよ。


采葑采葑さいほうさいほう 首陽之東しゅようしとう

人之為言じんしいげん 苟亦無從こうえきむじゅう

舍旃舍旃しゃせんしゃせん 苟亦無然こうえきむぜん

人之為言じんしいげん 胡得焉ことくえん

 アオナ摘み摘み、首陽山の東。

 他者のたわごと、従う義理もなし。

 放っておけ、放っておけ。

 いつまで言い続けられるものかよ。




○国風 唐風 采苓


人のうわさも七十五日の詩経バージョン、と言った感じであるな。アマクサ、アオナ、ニガナ。いずれも沢べりであるとか田畑近くに生えるものであり、首陽山に生えるものではない。「そう言う適当なこと」を言う連中の言葉なぞ受け容れるに足りぬ、というのである。




○儒家センセー のたまわく


晋の献公はとるに足らぬ讒言をすぐに信じ込んだ! このようではまともな政治の成立のしようがない! 隠して献公のごとくろくでもないことを信じるようではならない、と訓戒をもたらすのである! 献公がテキトー極まりない政治をして国が荒れ、その息子たる太子は非業の死を遂げるのであるが、その弟がやがて斯様な晋の荒廃を食い止め、覇者として君臨する国にまで再生する! そう、当詩は春秋五覇の一人、晋の文公登場の背景を物語る詩なのである!




毛詩正義

https://zh.wikisource.org/wiki/%E6%AF%9B%E8%A9%A9%E6%AD%A3%E7%BE%A9/%E5%8D%B7%E5%85%AD#%E3%80%8A%E9%87%87%E8%8B%93%E3%80%8B

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