汾沮洳(野良仕事をする貴公子)

汾沮洳ふんしょじょ



彼汾沮洳かふんしょじょ 言采其莫げんさいきぼ

彼其之子かきしし 美無度びむど

美無度びむど 殊異乎公路しゅいここうろ

 汾水そばの湿原で、水草を摘む。

 水草を摘むあの方は、何とも美しい。

 しかし大夫の車を引くあのお方には、

 似つかわしくない仕事ではないか。


彼汾一方かふんいちほう 言采其桑げんさいきそう

彼其之子かきしし 美如英びじょえい

美如英びじょえい 殊異乎公行しゅいこくぎょう

 汾水のかたわらで、桑の葉を摘む。

 桑を摘むあの方は、実に華やか。

 しかし大夫の車を引くあのお方には、

 似つかわしくない仕事ではないか。


彼汾一曲かふんいっきょく 言采其藚げんさいきしょく

彼其之子かきしし 美如玉びじょぎょく

美如玉びじょぎょく 殊異乎公族しゅいかこうぞく

 汾水の曲がり角で、ツクシを摘む。

 ツクシを摘むあの方は宝玉のよう。

 しかし貴族の一門たるあのお方には、

 似つかわしくない仕事ではないか。




〇国風 魏風 汾沮洳


汾水の側で、貴族の次男坊、三男坊と言ったやんごとなきお方が、野草を摘んでおられるわけである。野草を摘むその姿すら気品のあるものだが、いやいやそれはあなたの仕事ではありませんよね? というわけである。荀子や韓非子の説に従えば「職務を越えることそのものが悪」となるわけであるが、さて、二子をずっと遡るこの時代においてはいかようであったのかな。




〇儒家センセー のたまわく


魏の人びとはケチである! 無論節約そのものは美徳と言えよう、なれどそれが行きすぎ、礼を失してしまっているようではよくない! あまりに貧乏くさいふるまいをしてしまえば、それは貴人としてはいかがなものか!




毛詩正義

https://zh.wikisource.org/wiki/%E6%AF%9B%E8%A9%A9%E6%AD%A3%E7%BE%A9/%E5%8D%B7%E4%BA%94#%E3%80%8A%E6%B1%BE%E6%B2%AE%E6%B4%B3%E3%80%8B

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