猗嗟(立派な貴公子/母を御せぬ子)

猗嗟いさ



猗嗟昌兮いさしょうけい 頎而長兮きじちょうけい

抑若揚兮よくじゃくようけい 美目揚兮びもくようけい

巧趨蹌兮こうすうそうけい 射則臧兮しゃそくぞうけい

 おやまぁ、何とも立派な身なり。

 すらりと伸びた背筋、

 額は美しく秀で、

 眉目もまた秀麗、

 走る姿も、弓をつがえる姿も素敵。


猗嗟名兮いさめいけい 美目清兮びもくせいけい

儀既成兮ぎきせいけい 終日射侯しゅうじつしゃこう

不出正兮ふしゅつせいけい 展我甥兮てんがせいけい

 何ともはや、素晴らしい。

 眉目もすきっと清明、

 射の儀によく適った姿勢で、

 終日弓を射ても、

 決して的を違えることはない。

 まこと誇るべき、一門のお子。


猗嗟孌兮いされんけい 清揚婉兮せいようえんけい

舞則選兮ぶそくせんけい 射則貫兮しゃそくかんけい

四矢反兮ししはんけい 以禦亂兮いぎょらんけい

 いやはや、若々しく、麗しく美しい。

 舞っても見事、射的の威力も優れたもの。

 四本の矢が当たるのはすべて同じ場所。

 国の乱れを御すにふさわしきお方。




〇国風 齊風 猗嗟


どうですかうちのイケメン君主カッコイイでしょ!? 全開である。ちらりと五胡十六国クラスタ的発言を許していただきたいのだが、慕容恪に歌わせたいぞ、慕容恪に(なお)




〇儒家センセー のたまわく


魯の荘公のことを歌っておる! 「これだけご立派な身なりでありながら母親である文姜の好き勝手を抑え込めねーとかどういうことだよクソが」とのことである! 一方であれだけ無体な母親をどうにか御さねばならぬなどといった役割は難易度インフェルノにもほどがある代物であり、ずいぶんひどい役割背負っちゃったね、辛いよね、的憐憫の情もまた備えておるのである!




毛詩正義

https://zh.wikisource.org/wiki/%E6%AF%9B%E8%A9%A9%E6%AD%A3%E7%BE%A9/%E5%8D%B7%E4%BA%94#%E3%80%8A%E7%8C%97%E5%97%9F%E3%80%8B

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る