載驅(文姜、兄との逢瀬に向かう)

載驅さいく



載驅薄薄さいくはくはく 簟茀朱鞹てんふつしゅかく

魯道有蕩ろどうゆうとう 齊子發夕せいしはつゆう

 馬車を速めてガラガラと。

 車の覆いは真っ赤な布。

 魯からの道のりはなだらか。

 斉のお姫は夜を行く。


四驪濟濟しりさいさい 垂轡濔濔すいひでいでい

魯道有蕩ろどうゆうとう 齊子豈弟せいしがいてい

 車引く四頭の馬はスキっとして。

 手綱もまたきっちりと並ぶ。

 馬車を速めてガラガラと。

 魯からの道のりはなだらか。

 斉のお姫は楽しそう。

 

汶水湯湯ふんすいしょうしょう 行人彭彭ぎょうじんほうほう

魯道有蕩ろどうゆうとう 齊子翱翔せいしこうしょう

 汶水は豊かな流れ。

 行き来の人も、とても多く。

 魯からの道のりはなだらか。

 斉のお姫の車は快調に飛ばす。


汶水滔滔ふんすいとうとう 行人儦儦ぎょうじんしょうしょう

魯道有蕩ろどうゆうとう 齊子遊遨せいしゆうごう

 汶水は尽きせず流れている。

 行き交う人の顔ぶれも様々。

 魯からの道のりはなだらか。

 斉のお姫は心もウキウキ。




〇国風 齊風 載驅


魯に嫁いだはずの斉の姫、文姜が、なぜか斉に戻らんとしている。しかもウキウキとしておるわけである。「あぁ、お兄様に会える!」とでも言わんばかりである。いやだから孔センセーはこの詩を読んでどう背筋を伸ばすのだ。




〇儒家センセー のたまわく


斉の姫文姜は人目もはばからず愛しの兄上に逢わんと、嫁ぎ先の魯より斉に向かう! その臆面のなさが人々の批判の的となっておるわけである!




毛詩正義

https://zh.wikisource.org/wiki/%E6%AF%9B%E8%A9%A9%E6%AD%A3%E7%BE%A9/%E5%8D%B7%E4%BA%94#%E3%80%8A%E8%BC%89%E9%A9%85%E3%80%8B

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