東方未明(無茶苦茶な時間の呼び出し)

東方未明とうほうみめい



東方未明とうほうみめい 顛倒衣裳てんとういしょう

顛之倒之てんしとうし 自公召之じこうしょうし

 いまだ夜も明けぬうちより、

 あべこべに服を着て、

 どっしんばったん、家を出る。

 やれ、斉公さまのお召しだぞ。


東方未晞とうほうみき 顛倒裳衣てんとうしょうい

倒之顛之とうしてんし 自公令之じこうれいし

 いまだ夜も白まぬうちより、

 服の上下もあべこべに、

 ばったんどっしん、家を出る。

 やれ、斉公さまのお召しだぞ。


折柳樊圃せつりゅうはんほ 狂夫瞿瞿きょうふくく

不能辰夜ふのうしんや 不夙則莫うしゅくそくばく

 柳の枝を折り、生け垣に刺し、

 菜園との境とする。

 そうすれば、慌て者どもも、

 その居住まいを正そうというもの。

 それにしても、公のお召しは

 朝と夜とも、遅くも早くも問わぬ。




〇国風 齊風 東方未明


斉公の時間を問わぬ召喚に、臣下たちは大わらわ。そのせいで道すがらの農夫たちはガンガン畑を踏み荒らされ、ほとほと参っていたのであろう。そのため柳の枝で柵を作り、菜園を踏み荒らさぬよう対策を取らねばならなかった。それにしても、そもそも斉公さまよりのお召しがもう少し節度あるものであれば、そのようなことを気に病む必要もないのだろうに。




〇儒家センセー のたまわく


斉襄公の号令は実に気まぐれであり、水時計に基づき時刻を告げるものも盛大に振り回されておった! なにせ襄公はまつりごとを放棄し狩り三昧、荒淫三昧! 配下の気苦労は農夫らにまで及ぶわけである! せめて水時計を見守るものが仕事さえ出来ておれば、臣下らもドタバタせずに済むであろうに、というわけである!




毛詩正義

https://zh.wikisource.org/wiki/%E6%AF%9B%E8%A9%A9%E6%AD%A3%E7%BE%A9/%E5%8D%B7%E4%BA%94#%E3%80%8A%E6%9D%B1%E6%96%B9%E6%9C%AA%E6%98%8E%E3%80%8B

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