丘中有麻(収穫の喜び/失われた賢人を嘆く)

丘中有麻きゅうちゅうゆうま



丘中有麻きゅうちゅうゆうま 彼留子嗟かりゅうしさ

彼留子嗟かりゅうしさ 將其來施施しょうきらいしし

 丘の中にアサが茂る。

 それは留子嗟様のおかげ。

 ああ、留子嗟様。

 どうぞこの様子をご覧あれ。


丘中有麥きゅうちゅうゆうばく 彼留子國かりゅうしこく

彼留子國かりゅうしこく 將其來食しょうきらいしょく

 丘の中にソバが実る。

 それは留子嗟様のお父様、

 留子国様のおかげ。 

 ああ、留子国様。

 どうかお越しになり、

 お召し上がりくださいな。


丘中有李きゅうちゅうゆうり 彼留之子かりゅうしし

彼留之子かりゅうしし 貽我佩玖たいがはいきゅう

 丘の中にスモモがなる。

 それは留家のお方のおかげ。

 ああ、留家のお方。

 どうぞわたくしに宝玉のご下賜を。

 家宝と致したく思うのです。 




〇国風 王風 丘中有麻


留家の士大夫が民を励まし、引っ張り、アサやムギ、スモモのよく実る環境を整えた。民らはそのことを感謝し、讃える。宝玉の下賜は物欲というよりも、それを士大夫よりの恩徳の象徴としてたたえる象徴とする意味合いがあるという。収穫の喜びに満ち溢れた詩であるな。




〇儒家センセー のたまわく


この詩は東遷後の周王、荘王の暗愚さを批判したものである! 荘王の暴政により賢人がいなくなり、そういった失われた賢人に再び戻ってきてほしいと願い、歌われたものである!




〇崔浩先生キョトン、しかし。


この詩は、なるほど。解釈本を読んでも、衰乱の怨みを歌う詩とされているようである。言われてみれば確かにそのようにも感ぜられる。それにしてもそこに「この詩の響きには確かに怨みや怒りが感ぜられる」としておるが、……さすがにそれはプラシーボではないか?

あるいは、乞い願う思いを「将」字に託しているのがそれであるのかな。




毛詩正義

https://zh.wikisource.org/wiki/%E6%AF%9B%E8%A9%A9%E6%AD%A3%E7%BE%A9/%E5%8D%B7%E5%9B%9B#%E3%80%8A%E4%B8%98%E4%B8%AD%E6%9C%89%E9%BA%BB%E3%80%8B

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る