采葛(離れ離れの恋人/讒言を恐れる家臣)

采葛さいかつ



彼采葛兮かさいかつけい

一日不見いちじつふけん 如三月兮じょさんげつけい 

 あそこでカズラを採りましょう。

 一日お会いできねば、

 三カ月も経ったかのよう。


彼采蕭兮かさいしょうけい

一日不見いちじつふけん 如三秋兮じょさんしゅうけい 

 カワラヨモギを採りましょう。

 一日お会いできねば、

 三か月を三つ越したかのよう。


彼采艾兮かさいがいけい

一日不見いちじつふけん 如三歲兮じょさんざいけい

 あそこでヨモギを採りましょう。

 一日お会いできねば、

 三年離れ離れであったかのよう。




〇国風 王風 采葛


なんとまあストレートな恋歌ではないか。善哉。




〇儒家センセー のたまわく


この詩は自らの不在時にあることないことを主君に告げ口されることを恐れる臣下の恐怖を描いておる! 自らがどこかに外出でもすれば、その間に宮中でなにが起こっているかもしれぬ! ゆえに外出がただの一日であっても三カ月、九か月、三年のごとく長く感じてしまう、というわけである!




■おらが国の現況がクソ


魏書19中 元雲 子元順

鴟鴞悲其室,採葛懼其懷。小弁隕其涕,靈均表其哀。


元順が活躍していたのは北魏末期、霊太后が宮中でブイブイ言わせていたころである。豳風鴟鴞、当詩、そして小雅小弁。最後のやつは楚辞に登場する屈原のあざなであるから詩経よりの引用ではないが、いずれにせよ臣下が国の政を不安視する詩である。そして彼も最終的には北魏を転覆させた爾朱栄の乱に巻き込まれ、命を落とした。




毛詩正義

https://zh.wikisource.org/wiki/%E6%AF%9B%E8%A9%A9%E6%AD%A3%E7%BE%A9/%E5%8D%B7%E5%9B%9B#%E3%80%8A%E9%87%87%E8%91%9B%E3%80%8B

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