葛藟(嫁入り後の孤独/家族離散の悲哀)
絡まり伸びる、ツタカズラ。
黄河のほとりに茂るのに。
私の兄弟ははるかに遠く、
赤の他人を父と呼ぶ。
彼を父と呼んでみても、
顧みてくれるはずもないのに。
絡まり伸びる、ツタカズラ。
黄河の岸辺に茂るのに。
私の兄弟ははるかに遠く、
赤の他人を母と呼ぶ。
彼女を母と呼んでみても、
私を気にかけてはくれまいに。
絡まり伸びる、ツタカズラ。
黄河のみぎわに茂るのに。
私の兄弟ははるかに遠く、
赤の他人を兄と呼ぶ。
彼を兄と呼んでみても、
私の思いを聞いてはくれまいに。
〇国風 王風 葛藟
黄河のほとりでは今日もツタカズラたちが睦まじく絡み合っている。それに対し、嫁入り先の姑家は、当たり前だが家族そのものではない。ゆえに父や母、兄より与えられた愛と同質のものは決してそこで与えられはしない。そういった嫁入り後の孤独がひどく身につまされる詩であるな。
〇儒家センセー のたまわく
周の平王による東遷が招いた衰乱は、家族をも引き裂いた! そしてそれぞれの人間は、赤の他人を家族であるがごとく見なし、お互いに扶助せねばならなかった! そこに家族としての愛はない! ただ必要に迫られた利害関係があるのみである! 斯様なる残酷極まりなき状況を生み出した平王の統治は批判されてしかるべき! しかるべきなのである!
〇崔浩先生、にっこり
まぁ朱子も儒家センセーと同じ解釈を取っているのだがな。ただ彼は特に時期を限定する意味はない、と言っておる。それならばそういうものと解釈するべきなのやもしれぬが、まぁ現代人があえてその辺に付き合う必要もあるまい。この詩から伝わる孤独感をどう受容できるか、が重要となろう。
毛詩正義
https://zh.wikisource.org/wiki/%E6%AF%9B%E8%A9%A9%E6%AD%A3%E7%BE%A9/%E5%8D%B7%E5%9B%9B#%E3%80%8A%E9%87%87%E8%91%9B%E3%80%8B
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