君子陽陽(愛しき人との時間/適所に用いられぬ士大夫)

君子陽陽くんしようよう



君子陽陽くんしようよう

左執簧さしつこう 右招我由房うしょうがゆぼう 

其樂只且きがくししょ 

 あの方は屈託なく、

 左手に笛を取られ、

 右手でベッドより私を招かれる。

 ああ、なんと楽しそうにされているのだ。


君子陶陶くんしとうとう

左執翿さしつとう 右招我由敖うしょうがゆごう 

其樂只且きがくししょ 

 あの方は楽しそうに、

 左手に羽の扇子を持ち、

 右手で私は踊り手の位置につけさせる。

 ああ、なんと楽しそうにされているのだ。




〇国風 王風 君子陽陽


君子が二つ並ぶのであれば、どちらも同じ人物を言っている、とみなすのが良かろう。すなわち夫、いとおしきお方、である。かれと共に歌い、かれの笛で踊る。なんと心地よき時なのであろう。そのような思いがはちきれんばかりである。




〇儒家センセー のたまわく


本来であれば国士とも呼ばれるべき人物が、戦乱のさなかによっておのが身を全うするため身分を自ら貶め、ただの一楽師として曲を奏で、踊るしかないのである! ああ、なんと悲しきことか!




〇崔浩先生、感動


そうだ、このような解釈を待っていた……! そうであるな、そうであるな! 「ぱっと見での解釈ではなく、物事の本質(笑)に迫らねばならぬ」のだ!




毛詩正義

https://zh.wikisource.org/wiki/%E6%AF%9B%E8%A9%A9%E6%AD%A3%E7%BE%A9/%E5%8D%B7%E5%9B%9B#%E3%80%8A%E5%90%9B%E5%AD%90%E9%99%BD%E9%99%BD%E3%80%8B

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