有狐(貧困にあえぐ夫妻/国の乱れに苦しむ民)
妻→夫 困窮 キツネ 衣服の不足 礼なき婚姻
狐はぶらぶらと淇水の石場にある。
ああ、心配だ。
あの人にはろくなズボンもないのに。
狐ばぶらぶらと淇水のほとりにある。
ああ、心配だ。
あの人にはまともな帯もないのに。
狐ばぶらぶらと淇水のそばにある。
ああ、心配だ。
あの人にはまともな服もないのに。
○国風 衛風 有狐
淇水のほとりにある狐は実に悠然としたもの。それに対し、あの人には日々着るものにも事欠いているありさま。無論、ここで「あのお方」と言っている歌唱者自身もやはり同じような境遇であるのだろう。狐のように悠然と、人はおれずにいる。困窮の切なさが歌われておる。ただし「之の子」を文字通り子供として取る場合もあるようである。
○儒家センセー のたまわく
「刺時也。衛之男女失時,喪其妃耦焉。古者國有凶荒,則殺禮而多昏,會男女之無夫家者,所以育人民也。」
ときに衛の国は乱れ、妻は夫を失い、夫は妻を失った! 誰もが苦しみにあえぐ中、それでも連れ合いを求めずにはおれぬ! その時に目に入るのが狐である! 狐と言えば誘惑の象徴ともいわれる! 狐のごとく、誰かを誘って! 斯様に民を苦しめた衛国の主は咎められねばならぬ!
■詩経ではおなじみ、心之憂矣
邶風柏舟、邶風綠衣、魏風園有桃、曹風蜉蝣、小雅沔水、正月、小弁、小明、苕之華、大雅瞻卬で見えるおなじみの句形である。皆々様憂いのことを歌いたすぎである。
毛詩正義
https://zh.wikisource.org/wiki/%E6%AF%9B%E8%A9%A9%E6%AD%A3%E7%BE%A9/%E5%8D%B7%E4%B8%89#%E3%80%8A%E6%9C%89%E7%8B%90%E3%80%8B
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