竹竿(引用1:嫁に出た友/国に帰りたい嫁)
細々とした竹竿をたらし、
淇水で釣りをする。
そなたらを思わぬことなぞあろうか。
しかし遠く、会うことは叶わぬ。
泉水はわが左にあり、
淇水はわが右にある。
おなごの定めは、嫁ぎ、
親元から離れること。
淇水はわが右、泉水はわが左。
そなたの艶やかな笑顔を思い出す。
腰に帯びた玉が穏やかに鳴るのを。
淇水はなんと悠々としているのだろう。
マツの船に乗り、ヒノキの櫂で漕ぐ。
車を飛ばして散策し、
この憂悶を晴らしたいものだが。
〇国風 衛風 竹竿
衛の国で仲良く育った、二人の女子。彼女らはそれぞれ別の家に嫁ぐ。それが定めであるとはいえ、別れはつらきもの。そして再び会いたいと願っても、そうそう叶うものでもない。なんと悲しきことであろうか、その憂悶を「
〇儒家センセー のたまわく
衛国のおなごが異国に嫁に出た! しかしそこでの働きはなかなかに認められず、つい故郷を思ってしまう! 帰郷を願う詩である!
■才気を鼻にかける孫皓の論戦
三國志巻53
皓嘗問:「詩云『汎彼栢舟』,惟栢中舟乎?」尚對曰:「詩言『檜楫松舟』,則松亦中舟也。」……皓性忌勝己,而尚談論每出其表,積以致恨。
孫皓は己の学識の高さを自認していたが、一方で自らより学識の高いものを猜忌していたそうである。そんな中、張尚に対し文学論議を仕掛けた。邶風柏舟の句を引き合いとし、柏で船など作れるのだろうか、と。すると張尚はこの詩にて歌う船が松でできていることを引き合いに出し、なら作れるんですよ、と回答しておる。
どうこの会話を解釈したものかで悩むのだが、ともあれこの返しに孫皓は張尚の才能が自分を上回ることを痛感し、恨み、のちに殺したそうである。
毛詩正義
https://zh.wikisource.org/wiki/%E6%AF%9B%E8%A9%A9%E6%AD%A3%E7%BE%A9/%E5%8D%B7%E4%B8%89#%E3%80%8A%E7%AB%B9%E7%AB%BF%E3%80%8B
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