桑中(浮気者の歌/衛公の不義を批判)
エロス 秘め事 浮気 衛 不義批判
カズラを摘むついでに、沬にゆく。
誰のことを思うかって?
そりゃあの美しい姜家の長女。
おれと桑中で会いましょうと約束し、
我が館にまで出迎えてくれ、
淇水のほとりまで見送ってくれた。
云誰之思
ムギを摘むついでに、沬の北に。
誰のことを思うかって?
そりゃあの美しい弋家の長女。
おれと桑中で会いましょうと約束し、
我が館にまで出迎えてくれ、
淇水のほとりまで見送ってくれた。
云誰之思
カブラを摘むついでに、沬の東に。
誰のことを思うかって?
そりゃあの美しい庸家の長女。
おれと桑中で会いましょうと約束し、
我が館にまで出迎えてくれ、
淇水のほとりまで見送ってくれた。
○国風 鄘風 桑中
清々しいまでの浮気の歌であるな! 植物、方角は基本的に韻踏みのためでしかない。なのでさほど気にすることもあるまい。
○儒家センセー のたまわく
「刺奔也。衛之公室淫亂,男女相奔,至於世族在位,相竊妻妾,期於幽遠,政散民流而不可止。」
衛公の不義の批判である! 姜はこれまでにもよく出てきた衛公の妃らを排出した姓であるし、弋、庸についても衛が併合をなした国の姓であると言われる! 不義滅ぶべきであるな!
■河内郡は詩のお膝元
漢書28 地理
庸曰「送我淇上」,「在彼中河」。
いつものアレである。漢書は河内郡のところに何故詩の引用を集中させたのであろうな。
■桑中はえっち
左伝 成公2
異哉。夫子有三軍之懼。而又有桑中之喜。宜將竊妻以逃者也。
楚の大夫である巫臣は絶世の美女である夏姫(未亡人)に入れあげていた。楚で夏姫を我が物にせんと取り合いが起こったので巫臣は彼女をいったん彼女の故郷である鄭に戻らせる。やがて楚、そして同盟国の斉が晋との対決の姿勢を示し始めた。ここで巫臣は斉に使者として遣わされるのだが、何と言う偶然でしょう! 楚から斉に行くに当たっては鄭を通過せねばならぬのです。上掲の発言は巫臣の出立を見送った人物のコメントである。「三軍の懼れ」、戦争準備のために気を引き締めねばならぬ局面であるにもかかわらず、そこには「桑中の喜」、まるで逢い引きを心待ちにしているかのようではないか、と語られておる。ちなみに巫臣は夏姫を無事獲得後、斉を圧倒した晋に逃げ込んだ。
■えっちな地名
いやそうでもないな。漢の時代、常山郡には桑中という県が設置されておったそうである。大丈夫かこの地名、住んでおるだけでえっちなやつと風評被害を受けたのではないか。魏晋以降にこの県名が取り下げられておるのは、おそらくこうした風評被害が実際に発生したからなのではないかと妄想せずにおれぬ。
・漢書15 王子侯表
桑中戴侯廣漢,趙頃王子。
・漢書28 地理
常山郡,高帝置。屬冀州。縣十八:元氏,石邑,桑中、……
・後漢書38 張宗
八年,潁川桑中盜賊羣起,宗將兵擊定之。
・後漢書111 郡国三 注
博物記曰:「桑中在其中。」
毛詩正義
https://zh.wikisource.org/wiki/%E6%AF%9B%E8%A9%A9%E6%AD%A3%E7%BE%A9/%E5%8D%B7%E4%B8%89#%E3%80%8A%E6%A1%91%E4%B8%AD%E3%80%8B
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