北風(過酷な環境からの逃亡/亡命の望み)
乱政批判 逃亡 衛
北風は冷たく、雨雪も降りしきる。
情けある方が親しくしてくだされば、
その手を取り、赴こう。
ここは嘘と悪意の満ちたちまた。
ぐずぐずはしていられない。
惠而好我
其虛其邪 既亟只且
北風が厳しく吹き付ける。
雨雪も細かく吹き付ける。
情けある方が親しくしてくだされば、
その手を取り、共に帰ろう。
ここは嘘と悪意の満ちたちまた。
ぐずぐずはしていられない。
惠而好我
其虛其邪 既亟只且
私を欺かんとする、真っ赤な狐。
私を陥れんとする、真っ黒な烏。
情けある方が親しくしてくだされば、
手を取り、車に乗せていただこう。
ここは嘘と悪意の満ちたちまた。
ぐずぐずはしていられない。
〇国風 邶風 北風
なんだこの異常に恐ろしい詩は。国内の乱政に苦しみ、亡命を志す者の詩、という感じであるな。まぁこの詩であれば儒家センセーとしても容易に衛の政治と結び付けられよう。なおこの当時の役人は身分によって赤や黒の着物を着ておったという。
〇儒家センセー のたまわく
刺虐也。衛國並為威虐,百姓不親,莫不相攜持而去焉。
衛の国の乱政、そして民の不和、その過酷なるの批判である! これ崔浩殿、こちらを先読みするでない! ともあれここでは孔子の言葉を引いておこう、「危邦には入らず、乱国には居らず」と仰っておられる! 君子危うきに近寄らず、とも言うな! 一方で、こういった乱れた国を立て直す明主をも望む、それもまた人情であろう!
■こんなところにいられるか
後漢書83 逸民伝序
漢室中微,王莽篡位,士之蘊藉義憤甚矣。是時裂冠毀冕,相攜持而去之者,蓋不可勝數。
後漢の隠者と言えば光武帝のマブダチであったが光武帝が偉くなると一回だけ遊びに来て以降縁を切った人物、厳光が特に有名である。しかし逸民伝はその前にも野王二老、向長、逢萌、周黨、と言った人物の名を載せる。彼らが何かというと、序に書かれるとおり、王莽の乱政を嫌って「こぞって立ち去った」と、当詩の序を引いて言うのである。
毛詩正義
https://zh.wikisource.org/wiki/%E6%AF%9B%E8%A9%A9%E6%AD%A3%E7%BE%A9/%E5%8D%B7%E4%BA%8C#%E3%80%8A%E5%8C%97%E9%A2%A8%E3%80%8B
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