摽有梅(婚活女子/適齢期の終わり)

摽有梅ひょうゆうばい 引用1件

婚活 女→男 売れ残りの恐怖



摽有梅ひょうゆうばい 其實七兮きじつしちけい

求我庶士きゅうがしょし 迨其吉兮たいききちけい

 梅の実が落ち、残りは七つ。

 私を求める若者よ、

 よき日を逃してはダメよ。


摽有梅ひょうゆうばい 其實三兮きじつさんけい

求我庶士きゅうがしょし 迨其今兮たいきこんけい

 梅の実が落ち、残りは三つ。

 私を求める若者よ、

 今こそがチャンスなのよ。


摽有梅ひょうゆうばい 頃筐塈之けいきょうきし

求我庶士きゅうがしょし 迨其謂之たいきせいし

 梅の実は落ち切り、

 かごを傾け、拾い上げる。

 私を求める若者よ、

 約束を破ってはダメよ。




〇国風 召南 摽有梅

梅の木になっている実がひとつ、また一つと落ちていく。それは彼女の「女の盛りの残り」を示しているかのようでもあり、そんな彼女の焦りが伝わってくるかのようである。なるほど、見上げるかのごとき「高みの存在」が、今は「かがめれば拾い上げられる」のか。これはこれは、また。




〇儒家センセー のたまわく

「男女及時也。召南之國,被文王之化,男女得以及時也。」

文王が中原をお統べになることにより女性たちが強暴の手より守られ、平和裏に婚活に臨めることを歌った歌である! ただし女性の結婚適齢期が刻一刻と過ぎゆく恐怖もが歌われておる!




■崔浩先生 首をかしげる

宋書1 劉裕上

士庶疲於轉輸,文武困於造築,父子乖離,室家分散,豈唯大東有杼軸之悲,摽梅有傾筐之塈而已哉。


桓玄の乱政にて親子は離れ離れとなり、家族は離散する。その悲しみを語るにあたり、この句が出てきている。「杼軸の悲」は織物をしたくともその糸がないことを悲しむ歌であるが、「傾筐の塈」についてはいまいち文意をとらえきれぬ。ただ、既に紹介をした周南巻耳に出てくる「頃筐」ならば文意はすっきりと通る。何せあちらはかごを傾けても夫を思うあまり気もそぞろでかごが満ちぬ、という詩だからである。


……これは、もしやすると檄文を起草した何無忌(劉裕の同志)が字引きの運用を取り違え、記述を間違えた、ということなのかな?


ただ、それはそれで、当時のトップ知識階級よりも下はきっちり詩経を暗誦の上で運用せず、字引き、カンペのようなものに頼っていたのでは、という傍証を示すかのようでもあり、また萌えるシチュエーションではあるな。あるいはあえてそこをスライドさせるようなミームが存在していた、とかな。とは言え何無忌レベルにどこまで経典知識があったかと聞かれれば怪しいのではないか、とも思えてならぬ。




毛詩正義

https://zh.wikisource.org/wiki/%E6%AF%9B%E8%A9%A9%E6%AD%A3%E7%BE%A9/%E5%8D%B7%E4%B8%80#%E3%80%8A%E6%91%BD%E6%9C%89%E6%A2%85%E3%80%8B

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