◎崔浩コラム① 上古音

ごきげんよう。

此度は前口上にて語りたる

「上古音」について紹介いたす。


漢字の読み方は、時代によって違う。

この読み方を、音韻学の偉人らが

様々に再現を試みられておる。

それらのうち、漢代以前に用いられたものが

「上古音」と呼ばれておる。


ただ、その推測は

学者氏によりまちまちであり、

どれが確定的に正しいか、

までは容易に判断が下せぬ。


ここでは「カールグレン」氏の

説に依ってその読まれ方を紹介しよう。

氏の説を選ぶのに、特に理由はない。

推測音が載るサイト「小学堂」

https://xiaoxue.iis.sinica.edu.tw/

にて、氏の説が一番上だから、に過ぎぬ。

その妥当性を判定できるほどの学識を、

作者は持ち合わせておらぬゆえな。


では以下に周南関雎第一連と、

当作にて示す「ただの音読み」、

カールグレン式上古音、

現代中国における読み=ピンインを並べよう。



關關雎鳩

 かんかんしょきゅう

 kuan kuan tsʰi̯o kǐu

 guān guān jū jiū


在河之洲

 ざいかししゅう 

 dzə ɣai ȶǐə ȶǐu

 zài hé zhī zhōu

 

窈窕淑女

 ようちょうしゅくにょ

 0iu diau ʑǐuk nǐa

 yǎo tiǎo shū nǚ


君子好逑

 くんしこうきゅう

 kǐwən tsǐə hu gǐu

 jūn zǐ hǎo qiú



いかがであろうか。

一部発生する謎の記号については、

見ないふりをされるのが

賢者のふるまいである。


ここで見ていただきたいのは、

復元推定上古音と、現代の日中両語、

それぞれの「距離」である。


上古中国語と現代中国語は異言語。

上古中国語と現代日本語も、言うまでもなく。

が、こと「読み方」に限定すれば、

やや音読みのほうが近い。

「正しい」と言う気はないぞ。


ピンインで読めれば、中国の諸賢と

共通の言語が得られるわけであり、

これによる実りは決して少なからぬ。

が、残念ながら日本人に取り、

ピンインのハードルは高い。

声調とか地獄である。


と、作者が言っていた。


いっぽうで、詩経に載る詩は、

もともと歌われていたものである。

メロディーはすでに失われておるが、

句形や押韻から、ある程度のノリは

推し量れよう。


ならばそこで、音読みすると

「意外と当時の音に近い、かもしれない」

のは、見過ごせぬ点であろう。



当作にて音読みルビなる「愚行」を、

あえて犯しておるのは、以上の理由である。

せっかくカクヨムという、

容易にアクセスできる環境で

公開しておるのだ。

「詩経」の各詩と、より気軽に、

よりライトに接することができると良い。

そのような姿勢でいる。



とはいえ、本当は合わせて朗読があると

良さそうであるがな……


〔上古漢語試讀〕《關雎》一讀(2009)

https://youtu.be/Bqt3_02lxGo


おぉ、上古朗読とな!?

まさに求めたものではないか……

(視聴中)

……自分の知る上古音とは

全く別の系統の説であった。


うぬぬ。



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