短期集中投稿がデメリットになる「オレオ効果」の罠! 読者を増やすための正しい投稿方法とは

 「小説家になろう」などのウェブ小説投稿サイトでは、読者を増やす方法として、「投稿初期から短期集中投稿」というものがある。そう、短期間に大量に更新をすれば、「更新された連載小説」などの欄に自分の作品が載り続けるし、そこから新しい読者を呼び込むことができる。日刊ランキングに載ることも狙える。アルファポリスなんかも同様である。


 ところが、このカクヨムでは、この方法はまったく通用しない。それどころか、むしろデメリットにしかならないことが判明した。すべてはカクヨムのクソデザインのせいである。


 理由は二つあるが、まずその一つは、「新着小説」からの導線が圧倒的に弱く、小説を新規に更新しても、読者があまり増えないことである。それは「はじめに」でもお伝えしたことである。とにかく、この仕様は相当な致命的欠陥である。でも、それで四年も続けてるんだから、運営は改善する気はないよね。あきらめましょう。


 そして、もう一つの理由はなかなかに衝撃的なのだが、「小説家になろう」などと違い、カクヨムには各エピソードごとに★を入れるボタンが設置されているわけではないので、最新話が1話から遠のくほどに★が入りにくくなるという仕様のせいである。さすがにこれはクソオブクソと呼ぶしかない。


 これは実際に計測した2020/09/18 (金)のデータを見ても歴然だ。この日は、重複表示が複数あったのだが、そのうちの6話しかないの作品は計測中の二十分間の間に★を6つ獲得している。一回目の表示の時に入ったフォロワーが二回目表示前に読み終えて★を入れたからこうなったのだろう。一方で話数の多い作品には二回目の表示の際に★の変化はなかった。この例を見ても、「多い文字数で面白い」より「少ない文字数で面白い」ほうが新規読者を増やすのに圧倒的に有利だとわかる。


 そう、大事なのは掲載されている作品の分量であって、「多い文字数で序盤から面白い」ではダメなのだ。他のサイトではそれでいいのだが、それでは評価されないのがカクヨムのクソさである。もちろん「多い文字数で最後まで読むと面白い」なんて問題外。内容より文字数の少なさのほうが大事とかいくらなんでもおかしいというか、それなんて「オレオ」? というわけで、以降、このカクヨム独自の仕様、「文字数が少ないほど評価されやすい」を「オレオ効果」と命名する!



★がたくさん入っている人気作「オレオ」が読めるのはカクヨムだけ!


オレオ

作者  ★1,241

SF 2件の応援コメント 198人のフォロワー

https://kakuyomu.jp/works/1177354054880427843

キャッチコピー Milk's Favorite Cookie



 そして、このトラップのようなクソ仕様「オレオ効果」のせいで、なろうから短期集中投稿でカクヨムに作品を転載(あるいはほぼ同時連載)して沈んでいるケースが多々あるようだ。この現象は、なろうポイントが一万超えてても容赦なく発生する。


二度の人生をサムライとニンジャという理由で追放され殺された俺は三度転生し天職の『サムジャ』を得る~不遇職と馬鹿にされたが居合と忍法を組み合わせた全く新しいスキル『居合忍法』で向かうところ敵なし!~

https://ncode.syosetu.com/novelview/infotop/ncode/n0199gk/

https://kakuyomu.jp/works/1177354054918327629


週刊スキルメール

https://ncode.syosetu.com/novelview/infotop/ncode/n0273gk/

https://kakuyomu.jp/works/1177354054918638992


ジェノサイド・オンライン 〜極悪令嬢のプレイ日記〜

https://ncode.syosetu.com/novelview/infotop/ncode/n7796fc/

https://kakuyomu.jp/works/1177354054891628084


転生した復讐女のざまぁまでの道のり~天敵は自分で首を絞めていますが、更に絞めて差し上げます~

https://ncode.syosetu.com/novelview/infotop/ncode/n5366fz/

https://kakuyomu.jp/works/1177354054894290633


外れスキルだからと捨てられた元勇者、実は《最強クラス》のスキルで自由気ままに無双する~捨てたくせに強いと分かった途端に復縁要請されても、もう知りません~

https://ncode.syosetu.com/novelview/infotop/ncode/n1442gm/

https://kakuyomu.jp/works/1177354054921628254



 どの作品も、投稿初期から短期集中投稿で、なろうではそのやり方でポイントを稼いでいるのに対し、同じことをやったカクヨムでは沈んでいる。いくらなんでも結果が違い過ぎる。探せば他にもいくらでもこういう例はありそうだし。(サムジャなんてアルファポリスやエブリスタでもちゃんと打ちあがっててて、カクヨムだけしょぼいんだぞ? おかしいだろ……)


 これらはまさに「カクヨムでは低評価のうちに作品の文字数を増やし続けると沈む」という顕著な例である。なろうと比較するとよくわかる「オレオ効果」。


 いずれも、★とフォロワーの数のバランスからして「開いている」(カクヨムユーザー好みの)作品であることは間違いないのだし。



※逆に最初からマターリ投稿とカクヨム先行掲載のおかげでカクヨムでもなろう同様に読者を集められた幸運な例


ただの屍のようだと言われて幾星霜、気づいたら最強のアンデッドになってた

https://ncode.syosetu.com/novelview/infotop/ncode/n5816fy/

https://kakuyomu.jp/works/1177354054893367375 



※なろうで打ちあがった後、おそらくは書籍化が決まって(あくまで私の想像です)タイトルを変え、さらにその地味なタイトルでカクヨムに公開初日から短期集中投稿してしまったために、なろうとの格差が開き過ぎた例


おっさん冒険者の地道な異世界旅

https://ncode.syosetu.com/novelview/infotop/ncode/n0121gf/

https://kakuyomu.jp/works/1177354054922096492



 そう、長編になるにつれ、1話から入って読み始めた新規読者は最新話に到達するまで時間がかかってしまう。何百話もあると、最新話まで読み進められるのは、一話から入ったうちのごく一部の精鋭読者だけだ。多くは途中で脱落してしまう。そして、カクヨムでは読んでいる途中に評価を入れるボタンは読者の目には入らない。少なくともスマホで閲覧すると一切ない。(らしいですぞ)PCは「レビューを書く」というボタンはあるが、それで★が入れられるってわかりにくい上に、もうワンクリック必要だ。


 一応、あらすじなどが表示された作品情報トップに戻ればいつでも評価は入れられるが、小説本文を読んでいるときに直感的に★が入れられるデザインになっていないのは、やはりクソとしか言いようがない。なんでこんなクソデザインのまま四年もやってきたの、バカなの?


 さらに、そういうデザインとは別に心理的な障壁もある。作品に評価を入れるか入れないか迷ったときに、まだ続きがあるなら、誰でも、とりあえずその先を読んでから決めようと思うはずだ。まあ、これはカクヨムのデザインとは関係のない話だが。


 そして、何百話という大長編になったことで★があまりもらえなくなるということは、導線の少ないカクヨムではほぼ死ぬことを意味する。獲得した★(入手手段は問わない)のぶんだけ作品がより多くの読者の目にさらされるガバガバシステムだからである。


 たまに、何百話も一気に投稿して、それで★がたくさんもらえて一気にランキングトップに躍り出る作品もあるが、それはたいていなろうなどから人気作(?)を転載してきた場合である。同じことをやってカクヨムでは沈む例が多い中、その作品はきっと何か「持っている」のだろう。正直、そういう現象がみられるのって、なろうで削除された作品が多い気がするけど、気のせいだよね?(なろうで削除されたから読者がカクヨムに流れてきているのか、なろうで削除される原因になった違反行為をカクヨムでもやっているのか……はて?)


 なので、低評価のうちから「読者を増やそう」と考え、「短期集中投稿しよう! そうすれば新着小説から読者が増えていくはず!」と考えるのは、大きな大きなハイパー大きな間違いである。少なくともカクヨムでは。「オレオ効果」のないなろう他ではそれでいいのだけれど。


 じゃあ、カクヨムオンリーの作品で読者を大きく増やすためにはどうすればいいのかというと、少ない文字数(ファンタジー六万字以内、ラブコメ三万字以内ぐらい?)のうちに★をたくさんもらってランキング上位に貼りつくという方法しかない。週間や月間のランキング上位に載ったら、そこから落ちるまでは更新を控えめ(千字程度の少ない文字数で隔日更新するとか)にして、ランキングから入った新規読者がすぐ最新話まで読み進めて★を入れてくれる環境を作る。毎日コンスタントに★が入り続ければ、ランキング上位にはいられるし、注目の作品にも毎日載る。太い導線ができるわけだ。そうしてフォロワーを一気に増やした後に、大長編に向けてバリバリ更新していく。


 で、「オレオ効果」の恩恵を受けられる「少ない文字数のうちに★をたくさんもらえる」作品って具体的にどんなの?ってみんな思うんだろうけど、そりゃもうカクヨムユーザー好みの「開いている」作品で、かつ中身も面白いものに決まってるじゃないか……って、そんなふわっとした答えはいらないか。まあ、簡単にその条件を満たせるのは、今の流行のテンプレだろうか。つまり追放ざまぁとかスローライフとか幼馴染甘々ラブコメとか、そういう……。


 ただ、★を集められるお約束テンプレ展開ががちがちに固まっているファンタジーよりは、ラブコメのほうが少ない文字数で★を集めやすいと思う。ラブコメは、幼馴染か義妹をヒロインにして、ひたすら主人公好き!好き!好き!ってやって、時々えちえちなシーンを入れればいいだけだし。


 テンプレを使ったものはそれを消化したときに展開が迷子になることが多いようだが、カクヨムは以上のようなクソデザインのため、テンプレ展開が終わらない少ない文字数のうちにランキング上位に載せてしまえば勝ちの、テンプレ使いには非常にやさしいサイトだ。安心してテンプレを使って人気作を書こう! オリジナリティという幻想は捨ててしまえ!


 って、やっぱダメすぎるだろう。このサイト! すべてはサービス開始四年たって何も改善されていない★偏重のクソデザインのせいだな、うん。


(※このレポートもけっこうな分量になってしまい、「オレオ効果」の負の恩恵を受けるかもしれないので、とりあえず、どこかでガッテンしていただけたら★ください!)

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