1話で即切り! ブラバのチェックと対処法

 WEB小説界隈では独特のスラングが使われているが、「ブラバ」もその一つである。これは「ブラウザバック」の略で、ようは「面白そうだと思ってクリックして読んでみた小説だけど、すぐにクソだって気づいたからブラウザバックして画面切り替えたったw」という行為を指すのである。作者側としてはこの上なくいやすぎる行為である! なお、新しいタブを開いて見ていた場合のブラバは「タブをそっ閉じ」と呼ぶべきだろうが、こっちはそんなに使われてない。


 まあ、しかし「序盤だけ見て即切り」という行為は商業作品に対しても頻繁に行われることであるし、ほとんどの場合、その原因は作品側にある。単につまらないというだけでもその理由になるし、主人公やヒロインのキャラが微妙、ドラマだと嫌いな役者が出ているだけでも「即切り」の対象になるだろう。理由はさまざまだ。


 当然、その「序盤だけ見て即切り」=ブラバ行為は、このカクヨムというサイト上でも頻繁に発生している。厳密には、カクヨムの場合は二種類のブラバが存在する。そして、そのいずれもが作品に付随する数字に注目することで発生しているかどうか確認できる。「やだ、私の作品ブラバされてない?」と気になる人は、ぜひチェックしてみよう。



 パターンその1 見えるブラバ


 これは非常にチェックが簡単なブラバだ。カクヨムでは各エピソードのPVが確認できるため、それを見て、1話から2話にかけてPVが激減している場合は、ブラバが発生していると言えるだろう。


 激減というと、どれくらいかと気になるが、まあだいたい半減していたらブラバされていると言えるのではなかろうか。1話から最新話にかけてPVが少しずつ減っていくのは自然なことなので、2話でちょっとぐらいPVが減っていても気にすることはない。ただし1話から2話にかけて半減以下はやばい。あなたの作品、確実にブラバされてますよ!


 で、その対処法もそう難しくはない。1話の内容をブラバされないようなものに変えればいいだけ。ね、簡単でしょ……でもないか?(ボブキャンセル)


 2話のPVが激減している場合、1話の内容に問題があるのは明白だが、実際何が問題なのかは、それぞれ作品ごとに異なり、おそらく書き手としては非常にわかりにくいのではなかろうか。まあそこで、私なりに「これはブラバするかなあ」と思う要素を以下に列挙してみた。このレポートは小説本文は語らないという趣旨だが、ここだけは例外的に語る。せっかくキャッチーなタイトルなどで読者を集めても、ブラバで帰られたらホント意味ないからね。



 その1 なんか冒頭から地の文みっちり


 まあ、こういうのはお固い商業作品だと珍しくないが、カクヨムのメインコンテンツは「異世界ファンタジー」と「ラブコメ」であり、ようはライトノベル的なものが求められているサイトなので、こういうコッテリした作風はブラバされてしまう可能性が高い。あと、PCだとそうでもないが、スマホだと適度に行間に空きがないと閲覧がつれーものがあるらしい。何行か書いたら適度に空行しよう。



 その2 なんか冒頭から説明みっちり


 これは商業作品でもブラバ対象である。私もこれはめっちゃブラバするわ! 「ロードスという名の島がある」みたいな書き出しが許されるのはロードス島戦記だけですよ! そもそもカクヨムで求められているのは「ライトノベル」であり、ようは「キャラクター小説」なのだ。キャラをまず前面に出し、説明はそのあとからするべきだろう。



 その3 なんかタイトルやあらすじと内容が違う


 これもたまにある。つか、私が実際読んだなかであった。あらすじには「主人公は高校生」と書かれていたのだが、1話から何の説明もなしにその主人公が車を運転して移動していて意味が分からなくなった。いや、一応、高校生ならギリ可能な行為だけどさ? そんなの相当特殊な高校生だろうがよ? その描写入れるなら、まずはそのへんちゃんと説明しようよ! たくさんの人に読ませる小説なんだからさあ! と、なんかちょっとイラついたあとに、念のためその作品のPV確認してみたら、案の定2話でPVが激減していた。みんな考えることは同じなのね。タイトルやあらすじは魅力的な作品だったのにさあ……。


 まあ、こういう極端な例はともかく、例えば、お約束(テンプレ)が重視される追放ざまぁものにおいて、「主人公が自業自得で追放されている」とか、お約束以外のことが明らかになるとブラバされちゃうんじゃないだろうか。自業自得で追放されてたら、そりゃ「ざまぁ」しようがないもんね? 



 その3 なんか冒頭から大量にキャラを出してきた


 これは商業作品でもつらいものがある。アニメや漫画など、絵で見せる媒体では1話からキャラ大量でも成功している例があるが、同じこと小説でやられるとガチでつらい。つか、アニメでもわりと1話切りされる案件だよね、コレ? ソシャゲ原作アニメとかだいたい1話でキャラ大量に出してくるのなんなん? あれで視聴者食いつくと思ってんの、バカかよ!


 まあともかく、キャラはゆっくり登場させていったほうが視聴者、じゃなくて、読者も作品に入り込みやすいだろう。



 その4 なんか冒頭からメタい


 メタい、ようするに、登場人物が「自分はフィクションの中のキャラクターである」と自覚して語ってるってことね。銀魂とか、ギャグマンガだとよくあるけど、小説の冒頭からそれやられても、なんかめっちゃ内輪受けに書いてそうな感じがしてつらい。個人的には、物語冒頭で異世界召喚やら転生やらした主人公が「これが噂の異世界召喚?」とか言っちゃうともうダメアウト帰れ。まあ、リゼロとかもそれやってるけどさあ。あくまで個人の感想です。



 その5 なんか主人公がおかしい


 物語開始時の主人公というのは、なるべく読者の視線と同一であるほうが好ましい。そのほうが読者は自然と作品世界に入り込むことができる。SFやファンタジーなどでは、そのお約束は守られにくいが、それでもなるべく読者が共感しやすい主人公でスタートするべきだろう。高校生設定なのになんの説明もなしに車運転されても、その、困る。



 その6 なんか続編っぽい


 まっさらの状態から物語がスタートすると思いきや、実は続編で、前作までのキャラやら設定やらを頭に入れてないと理解できない内容だと、当然ブラバされる。

 

 実は私、映画でこれ体験したことあるんだよね。「ダークナイト」ってのを見てて、特に面白くないながらもとりあえず視聴してたら、突然バットマン出てきやがった。バットマン知ってる人向けだった。死ねと思いました。当然「そっタブ閉じ」ですよ! オンデマンド動画をPCで見てたからね! って、厳密にはこれブラバじゃない……?



 その7 なんかもう内容全部がおかしい


 いきなり意味不明なポエムから始まってたり。いきなりセリフだけの羅列で状況が不明だったり。いきなり謎の時系列シャッフルから始まったり。必要な描写説明が足りてなかったり。まあ、小説を書きなれてない人にありがちな冒頭だ。時には日本語すらあやうかったりする。書きなれよ!としか。



 以上が、「私が考えた見えるブラバの原因」である。PVチェックしてブラバされてた人、どれか当てはまったかなー? 




 パターンその2 あらすじブラバ


 1話をクリックされて本文を読まれたうえでブラバされた場合は、2話のPV激減という痕跡が残るが、そうでないほうのこっちのタイプのブラバは何も証拠が残らない。なので、ブラバされていることに気づかない。しかし、ブラバという行為はそこに確かに存在しているのである!


 まあ、「ブラバという行為がいつ発生するか」という定義にもよるのだろうが、作品をトップ画面下の「新着小説」などからクリックし、本文を一切読まずに去って行くタイプのブラバがこれにあたる。ようするに、タイトルやキャッチコピーなどは魅力的だったが、あらすじやらタグやらが残念だったので新規さんに去られた、ということである。トップ画面からのリンクだとあらすじなどは見えないため、こういうタイプのブラバは大いにありえるのである。計測し続けた「注目の作品」からのリンクもそうですね。


 これは非常に気づきにくいことだが、やはり数字でなんとなく発生を確認することができる。あくまでなんとなく。


 まず確認するべきことは、自分の作品のジャンル、タイトル、キャッチコピーが「開かれている」作品にふさわしいものかどうかだ。これは計測で実際にどういう作品が伸びたか見れば、おおよそわかるだろう。(だろう?)


 そして、ちゃんとそれらをキャッチーにしているにもかかわらず、フォロワー数と★の数のバランスが「閉じている」。それはきっとこのあらすじブラバが発生しているに違いない。そうわよ、きっと。


 で、その原因だが、その名の通りほぼほぼ「あらすじ」の部分にある。これがまともに機能していない作品は、一見キャッチーなタイトル、キャッチコピーでも「閉じている」ことが多い。どれとは言わないが、計測中に実際にそれっぽいのいくつかあったし。


 なぜ人は「あらすじ」でポエムを書いてしまうのか。

 ちゃんとあらすじろうよ?


 なぜ人は「あらすじ」で固有名詞を羅列してしまうのか。

 ファルシがルシせずにわかりやすくあらすじろう。


 なぜ人は「あらすじ」でいきなり登場人物紹介を始めてしまうのか。

 まずは、お話や設定をあらすじろよ。


 なぜ人は「あらすじ」を放棄してしまうのか。

 めんどくさがらず何か書いてあらすじりましょう。


 なぜ人は「あらすじ」でセルフハンディキャッピングしてしまうのか。

 謙遜せずにあらすじること!


 最後の「セルハンディキャッピング」ってのは、まあようするに作者自ら作品を貶す行為のことである。「駄文ですが」「行き当たりばったりで書いてます」「手抜きです」……。こういうの全部、あらすじに書く必要ないよね? 読者が必要としている情報じゃないよね? もしかしたら謙遜のつもりで書いてるんだろうけど、読み手としてはそういうの普通に受け止めて期待値下がるだけだわよ。


 心理学だと、こういうのは「実際に失敗したときの予防線」として使われることも多いという。(これがセルフハンディキャッピングって用語の意味なのさ!)テストの前に、「いやー、全然勉強してないわー」と、周りに言いまくるアレである。実際にテストで低い点数を取った時に恥ずかしいから、事前に「努力してないアピール」として、こう言っておくのである! 


 ただ、カクヨムに小説を投稿することは学校のテストとは違うので、そういう「努力してないアピール」みたいなのは純粋なマイナスにしかならない。単に自信がないだけでこんなことを書いている人も多いと思うが、今すぐやめましょう。初心者なら、初心者なりに一生懸命書いてるってアピールしましょう。

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