第84話:王へ復讐
「ふ、復讐、だと……?」
レイドの放った言葉に、言葉を繰り返した。
「ああ」
ゆっくりとカルロアへと近づくレイドに、恐怖で歯を鳴らす。そこへ、何かを思いついたのか、レイドへと提案を持ちかけた。
「そ、そうだ! もう一度貴様を勇者にしてやる! わ、悪くない提案であろう?! 金も女も地位も、好きなもの全てを用意してや――ひぎゃぁぁぁぁぁぁぁあ!?」
聞くに堪えない話だったために、レイドがカルロアの腕を斬り落としたのである。
痛みで玉座から落ち、床で転げまわるカルロア。
「う、腕が! 私の腕がぁぁぁぁぁぁっ!!」
「喚くな豚。それくらいで叫ぶな」
床を転がるカルロアの腹を踏みそう告げるレイド。
レイドとカルロアの視線が合う。
「や、やめろ……」
カルロアの腹を足でぐりぐりと踏みつけるレイドへと言うが、レイドは聞く耳を持たない。
「ん? 何か言ったか?」
「何を――ひぎゃっ」
力強く執拗(しつよう)に踏みつける。
しばらくして飽きたのか、レイドはカルロアの腕を掴み――圧し折った。
「がぁぁぁぁぁぁぁあっ!?」
痛みで悲鳴を上げるカルロア。
折れた腕を足でぐりぐりと踏みつける。
「や、やめ――ぎぎゃぁぁぁぁぁ!?」
太ももへと落ちていた槍で突き刺す。突き刺すだけではなく、突き刺したまま槍を片手で弄ぶ。
しばらくしてカルロアが叫ばなくなったので槍を弄るのを止めると、どうやら気絶していたようだった。
腹を蹴り叩き起こす。
「誰が寝ていいと言ったんだ?」
「――がはっ!!」
そこでレイドと目が合った。
「ひ、ひぃぃぃぃぃっ!?」
逃げようにもこの足では逃げることすら不可能。
片方の無事な足で床を蹴るようにして移動しようとするカルロアだが……
「おいおい、逃げるなよ」
先程まで刺していた槍はすでに抜けており、レイドの手に握られていた。
それを今度は無事だったもう片方の足へと突き刺した。
今度は貫通し床と縫い付けられ固定された。
悲鳴を上げるカルロア。
そんな光景を只々見ているフラン達。
レイドの行動を見ていたフラン達は思った。そこまで復讐したかったのかと。
「もういいか。それとシュトルツはどこへ行った?」
荒い呼吸をし瀕死のカルロア。
「答えろ」
落ちていた剣を抜いて脇腹へと突き刺し抜くと、血が滲み流れる。
「持ってあと数分だ。答えたら治療してやるかもしれないぞ」
「こ、答え、る。だ、だから……」
レイドは頷かない。
「速く答えろ。死ぬぞ?」
「しゅ、シュトルツは、宝物庫に、むか、った……」
何故宝物庫なんだ? と疑問に思うレイド。
あそこに特筆すべき物は無かったはずだ。
一度宝物庫の中を見たことがあったレイド。
本当に何もなかったはずなのだ。あっても古代の遺物や
「こ、これで治して、くれるん、だろう、な……?」
「ああ。もうお前には用がないからな」
安堵するカルロアだったが次の瞬間。
突き付けられる剣先。
「な、何故……?」
「言ったろ? 復讐だって」
振るわれた剣。
カルロアが最後に見た光景は、自分の首がない、胴であった。
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