第75話:会議

 ミレーティアやリリスと一悶着あったあと、レイド達は会議室へと集まっていた。

 王国へ進軍するための作戦会議である。


「レイド、王国の守りは堅牢なのか?」


 フランの質問にレイドは答える。


「そこまでではないが、恐らくはすでに他の連合参加国へ増援を手配しているだろうな」

「そうか」

「でだ規模はそこまでではない気もする。先の戦闘で大きく数を減らしたにしろ、勇者はすでにこちら側だ。奴を使って王都の壁門を開錠させようと思うが、みんなはどうだ?」


 レイドの問いに、他の幹部達が質問をしてくる。


「勝算はあるのか?」

「ある。王都は落とせるだろうな」

「そうか。なら異論はない。私は賛成だ」


 他の者達も賛成の声を上げてくる。


「では決まったな。誰を出す?」

「俺が行こう。詳しいのは元勇者の俺だからな」

「そうか。他には?」


 フランの言葉に数人の幹部と、バルザークが手を挙げた。


「バルザーク、傷の方はもう大丈夫なのか?」

「はい。傷はもう塞がり、万全の態勢です。それに、レイドには助けられた借りがありますので」

「そうか。私も行きたいところだな……」

「魔王様も?」


 イリーナが疑問の声を上げた。


「そうだ。自ら攻め入らねば魔王として示しが付かないだろう。どうだろうか?」


 フランの意見に反対する者はいない。


「魔王様が行けば勝てる」

「我ら魔王軍は勝ったも同然だろう」


 だがレイドはフランに尋ねる。


「良いのか? フランは玉座で偉そうに指示を出していれば、俺が奴等を片付けてくるが?」

「良いのだ。たまには我にも戦わせてくれ。動かな過ぎて体が鈍りそうだ」

「そうか。なら俺は何も言わない。フランは俺が守る」

「そう言ってもらえて嬉しいぞ」


 笑みを浮かべるフラン。


「他にもリリスにも来てもらう」

「わかりました」


 頷くリリス。


「魔王城の守りはベノムとイリーナに任せる」

「御意」

「分かりましたわ」


 頷く二人。


「では早急に準備を整えろ! 二日後には出発する!」

「「「はっ!」」」


 こうして会議が終了した。

 終わった俺はフランと共に地下牢へとやってきていた。


 勿論ラフィネの元へとだ。


 着いて早々にラフィネはレイドを睨む。


「……なんの用だ外道」

「外道とは心外だ。そう言う王国の方が外道だと思うけどな。それはいいとして、お前の使い道が決まった」

「使い道、だと?」


 そこでフランが口を開いた。


「私は魔王フラン。勇者、お前には首輪を付けてもらう」

「……魔王!?」


 驚愕に目を開かせるラフィネだが、フランは説明を続ける。


「勇者であるお前には、魔王軍の駒になってもらう」

「駒になるくらいなら死んだ方がマシだ!」


 吠えるラフィネ。

 その目には憎悪が。


 牢を開け抵抗するラフィネにレイドは首輪を付けた。

 レイドは告げる。


「これから王都に迫る。お前には壁門を開錠し、そのまま連合軍の相手をしてもらう」

「同胞を殺せというのか!」

「自殺は出来ないようになっている。精々俺達の駒となることだ」


 立ち去ろうとするレイドを呼び止める。


「まて!」

「……なんだ?」

「エリスは、ダイリ達仲間はどこにやった!」


 そう言えばと隣の牢屋を確認するが見当たらない。

 そこでフランが答えた。


「ああ、そう言えば部下が楽し気に報告してきていたな」

「そうなのか?」

「うむ。まあ今頃は土の中だろうな。

感謝していたぞ? 積年の恨みを晴らさせてくれたと」

「なら良かった」


 二人の会話が何を言っているのか、理解が出来なかったラフィネだったが、遅れてその意味を理解した。


 それは、もう仲間はこの世にはいないということであった。


「こ、殺したのか!」

「俺は頷いてはいない」

「このクズが! 仲間だったのではないのか!」

「仲間? 反吐が出るな。裏切られてからあんな奴等を仲間と思ったことは一度も無い」


 そう言ってラフィネの前から姿を消すのだった。


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