第52話:バルザークさん、おピンチ!?

 互いに倒しては倒されてを繰り返しとなっていた戦場に一筋の光の魔力が天を衝いた。

 それはラフィネから噴き上がっていた。


 人間軍には希望の光に、魔族軍には不安の光となって瞳に映った。


 凄まじい程の魔力を噴き上がらせたラフィネ。

 それを見てバルザークは口を開いた。


「まだそれほどの力を隠していたか」


 ラフィネは答えない。

 ただ目の前の敵であるバルザークを睨んでいる。


 光が収まるもラフィネからは凄まじい力を感じる。


 そしてラフィネは――動いた。


 バルザークも魔力を体に流すことで身体を強化し対応した。

 魔剣と聖剣が衝突し火花を散らしてせめぎ合う。


「許さない!」


 ラフィネはさらに押し込む。


「なにっ!?」


 押し負けるとは思っていなかったのか驚愕の声を漏らす。

 ラフィネは冷静さを欠いてはいなかった。

 力では敵わないと判断し後ろへと後退する。


 バルザークも魔剣プロクス力を解放し炎が噴き上がる。


「プロクス、全てを燃やせ!」


 バルザークの声に応えるかのように魔剣プロクスからさらに炎が噴き上がった。

 そのままラフィネ目掛けて縦に振るうと炎が放射状に広がった。

 巻き添えで人間側の兵が炎に飲み込まれ焼け死ぬ。


「はぁぁぁっ!」


 ラフィネが聖剣を振り払うと炎が掻き消え、突っ込んできた。

 一瞬で目の前まで迫られたバルザークだったが、砂塵を巻き上げラフィネの視界を遮った。


 それでも突っ込んでくるラフィネに魔剣を振るったが、回避され聖剣がバルザークの腹部へと突き刺さった。


「ぐっ!」


 魔剣を振るうがラフィネは後退し回避する。

 刺された腹部から少量の血が流れ落ちる。


「流石は勇者といったところか」

「私は、負けない!」


 加速するラフィネ。

 そこからは激しい剣戟が繰り広げられる。


 ここで倒れては中に向ける顔がない。

 そう思いながら必死に剣を振るうラフィネ。


「はぁぁぁぁっ!!」


 聖剣がラフィネの想いに応えるかのように輝きが増しバルザークの魔剣を弾き返した。


「なにっ!?」


 何をしようにも間に合わないバルザーク体に深々と袈裟切りに斬られ鮮血が舞った。


「あがぁっ……!」


 ラフィネの攻撃は止まらない。

 痛みに顔を歪めながらも反撃しようと魔剣を振りかぶろうとし、腹部を聖剣によって貫かれた。


「ごふっ」


 口から血を流すバルザークは膝を突く。魔剣を地面に突き刺し片方の手で貫かれた腹部を抑える。


「これでトドメよ」


 そう言ってラフィネは聖剣を振り下ろしたのであった。





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