第43話:新たな同行者
約束通りミレーティアと遊び昼食のために戻ったレイドとリリス。
ミレーティアの龍の姿はウォースパイトと同じく美しい白亜のドラゴンであった。
昼食を食べているとアルミラースが尋ねてきた。
「レイドにリリス、いつ帰るの?」
「そうだな。明日にでも帰るつもりだ。フランが待っている」
「例の魔王か」
「ああ。早く帰ると言ったからな」
「それは仕方がないな」
「……二人とも帰っちゃうの?」
寂しそうな表情でレイドとリリスの方を見つめるミレーティア。
そんな顔で見られてしまえば「もう少し」と言いたくなってしまうも、グッと堪えるレイドとリリス。だってそうでもしなければ長居してしまうからである。
「ごめんな。俺達は帰らないとなんだ」
「ごめんねミレーティア」
リリスは寂しそうにするミレーティアの頭を撫でながらそう告げる。
今にも零れ落ちそうになる涙。
それを見かねたのか、ウォースパイトがある提案をした。
「ミレーティアもレイドさんについて行ったら?」
「おいウォースパイト、流石にミレーティアには――」
「あなたは黙ってなさい」
「はい」
アルミラースは妻には逆らえずただのイエスマンと成り下がった。
ウォースパイトの提案を聞いたミレーティアは「……え?」と言いたげに母の方を振り返った。
慈愛にも等しい優しい笑みを浮かべながら口を開いた。
「付いて行きたいのでしょう?」
「う、うん……」
「なら行きなさい。世界を見て、触れ合い、知りなさい」
「レーティア、父さんは止めない。好きなようにするといい。そしてたまには顔を見せに来るんだ」
ウォースパイトとアルミラースの言葉に今度は嬉しさで涙が零れ落ちた。
「いい、の……?」
「もちろんよ」
「ああ」
しばらくして決心がついたのか、グッとレイドとリリスの方を見て告げた。
「レイドお兄さん、リリスお姉さん。私も連れて行ってください。お願いします!」
頭を下げるミレーティア。
それほどまでに一緒に行きたいようだった。
だが……。
「今、魔族と人族は戦争をしている。もしかしたら死ぬかもしれなない。自分の身は自分で守れないとだ。それでもか?」
これはたんに聞いているだけだ。付いてくるのだったらレイドはミレーティアを守る気でいたからである。
覚悟の決まった瞳で二人を見るミレーティア。
「それでもです。 私はレイドお兄さんと一緒に居たいんです!」
「そうか。アルミラースのように強くなるんだぞ?」
「それって……」
レイドは笑みを浮かべて答えた。
「付いて来い」
「――ッ! はいっ‼︎」
ミレーティアは幸せそうな表情で、なおかつ出会った中で一番の笑みを浮かべ返事をするのだった。
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