死に戻り。
櫻咲未麗
死ぬ。
───俺は死んだ。死んだはずだった。なのに何 故今生きてるんだ?しかも死ぬ前の場所で。少し声のような物が聞こえた。取り敢えず進む。巨人でもいるのかと思うような階段を乗り越え、落とし穴も飛び越えた。大きな花やキノコのような何かも避けて進んだ。俺は段々この状況を楽しんでいることに気が付いた。穴だ。俺は大きくジャンプした。
───また死んだ。穴に落ちたのだ。なのにまた生きてる。また最初と同じ場所だ。地面に叩きつけられた時の痛みはない。また小さく声のような物が聞こえたが、気にせず走り出した。前の時も見た風景を走り抜ける。階段を乗り越え、落とし穴を飛び越え、キノコのような何かも花も避け進む。前の時落ちた同じ穴が前に立ちはだかる。また助走をつけて大きく飛んだ。成功だ。何とか飛び越えることが出来た。再び走り出す。前に花のような何かが出てきた。思い切って近付いてみる事にした。もしかすると俺が敵だと思っているのは悪いヤツじゃ無いかもしれない。『花』に近付く。
───死んだ。花が大きな口を開けて頭から噛みちぎった。痛みはない。また走り出した。同じ道が続く。
───死んだ。穴に落ちた。
───死んだ。タイマーが鳴り響くと同時に首が飛んだ。
───死んだ。穴に落ちた。
───死んだ。キノコに食い殺された。
───死んだ。穴に落ちた。
──死ぬ。
──死ぬ。
──死ぬ。
─死。
そして俺は歩くことが出来なくなった。「怖い」死ぬ事が怖い。死んでも蘇ってしまうのが怖い。怖い。怖い。怖い。何分も経ったある時。そしてある事に気が付いた。
「この世界はループしている。」
つまりどんなに死のうと思っても何度も何度も蘇るのだ。そしてある決心をした。この先に何があるのか分からない。もしかすると絶望かもしれない。だが俺はどんなに死のうがその先にあるものを見つけに行く。希望があると信じて。再び俺は走り出した。
何度も何度も死にながら、ついに何かを見つけた。旗だ。その先には城のような見える。あれが『ゴール』なのか?喜びの余り目頭が熱くなった。だがここでボーッとしてられない。また『タイマー』が鳴ってしまう。そうするとやり直しだ。だから急いで走った。ポールのような物に捕まり降りると、旗も一緒に降り、城から花火が上がった。漸く終わったのだ。漸く…開放される…そう思っていたら、小さく声が聞こえた。何を言ってるんだ?と思い耳をよく澄ますと子供のような声が聞こえた。
「…マ…ママ!やっとゲームクリアしたよ!」
死に戻り。 櫻咲未麗 @kusozakopoppine
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