山本弘さんがついに書いてくれました
古新野 ま~ち
山本弘さんをだしにした自分語り
山本弘さんがカクヨムで連載しているエッセイにて語られた内容とその反響が興味深かったので、そのことを残しておこうと思いました。
まず、自分は山本弘さんがと学会で活躍されていた時期、と学会の最盛期を知りません。年齢的な理由です。だから、知ったきっかけは、特殊なものだと思います。『紫色のクオリア』が面白かったので検索したら氏のブログを見つけ、そこから山本弘作品をいくつか読んだという経緯です。『MM9』シリーズ、『神は沈黙せず』、『アイの物語』を読んだはずです。この順に記したのは自分の好みの順です。
と学会、というものは知らなかったものの、氏のブログではオカルト番組やUFOや超能力といった、通常の大人なら大っぴらに言うのは憚られるような題材が多かった。ここに、私はひかれた。超常現象を調査しているASIOSのブログを知ったのも、山本弘さんが寄稿したらしいので覗いてみたことだった。
個人的な印象として、山本弘作品と彼のブログの密接なつながりには驚いた。山本弘作品を読む際の注釈だったからだ。未熟なクソガキ(未だに未熟だが)が彼の小説を読む上でかなり役に立った。
積極的な作品紹介も参考になった。あまりSFを読んでいなかったため、氏のブログやインタビューで知った作家や作品はかなり多かった。書ききれないため、私の趣味は別にして、重要度の高い作家名を。クラーク、アシモフ、ブラッドベリ、ラヴクラフト、イーガン、筒井康隆、萩尾望都、野尻抱介、古橋秀之、宮澤伊織、他にもあるがここで挙げた人たちの作品を読んでいなかったクソガキのSF入門としては良かったと思う。
ただ、山本弘さんのブログで最も良かったと言える点は、差別問題について強く批判されていたことだと思います。今の自分を見て、また周りの大人を見て、ここまで社会に対して責任を果たそうとしている人がどれだけいるのか。最も、私が頭をぶん殴られる衝撃を受けたトピックスは、嫌韓であった。本屋で嫌韓本なるジャンルがあることを知らなかった。ネットの掲示板ではカジュアルな韓国ヘイトが溢れていることを知らなかった。そもそも、世間のどこかに韓国、北朝鮮を憎悪している人間がいることを知らなかった。山本弘さんのブログにたどり着きその現実を知れたことは感謝してもしきれない。自分が、その憎悪の毒を振り撒かずにすんだのだから。
同時に、自分は何も見ていなかったことを知った。本屋は韓国ヘイトの新書があり、図書館ですら北朝鮮をコケにした書籍があり、知人は在日韓国人を馬鹿にしていた。それらを踏まえても、やがて起きた大阪の鶴橋という自宅から電車一本でいけるところで起きた在特会のデモ行進の意味を知ったときの言葉にできない感覚は忘れられません。
再度書きます。私はこの一点、嫌韓を内面化しなかったことにおいてだけでも、山本弘さんには感謝しています。
前述の作家の作品をいくつか読んだ後、さらにSFを読んでいく、ということにはならず、海外の小説に興味が行った。そちらに興味が移るにつれ、オタクカルチャーに割く時間はみるみる減っていった。
そのため、山本弘さんの提示する作品リストでは読みたい小説にたどり着けなくなった。SFやオタクカルチャーだけでは、全く満足しなくなった。
度々、Twitterで炎上していたそうだが(ケンリュウ作品、JKハル、の批判)、あまり興味はわかなかった。異世界シャワーという言葉がTLで流れてきて何か調べれば山本弘さんが発端だった。あまりに山本弘さんらしい観点で、笑った記憶がある。
ブログのコメント欄でのやりとりや、Twitterで、と学会についてのやりとりなどがあり、何度か書かれることが予告されていたので、山本弘さんがと学会について何を語っているのか、期待して読みました。山本弘さんが「あの件」をどう感じていたかを知りたかった野次馬である私は、待ちわびていましたから。
大病を患われ、推敲などままならないまま書かれているのは察することができます。願わくば、もう少し早く読みたかった気がしますが、そうはならなかったものをとやかく言っても仕方ありません。
ようやく、本題にたどり着きました。私が今回の騒動で最も興味深かったのは、と学会のようなトンデモを笑いとばすということの是非について書かれている方が多かったことです。私の狭い観測範囲では、「反表現規制」「似非科学批判」と、と学会の関係性について述べられていた方が特に散見された。
と学会の態度、トンデモを笑いとばすという態度は、山本弘さんも誇っておられた点だったと記憶しています。その態度そのものを見直そうという気運はそこそこ前から見られていた。そして、その批判を集めている、笑いとばすという態度は私も持っている。間違いなく、山本弘さんの影響を受けている。
何か理不尽な主張をしている人、何かカルト臭い主張をしている人、常識のない人、道理を守らない人、それらを見たとき私は笑っている時がある。馬鹿なことを言いやがってと、怒りながら笑っている時がある。
笑っているときの自分は、トンデモでないと言い切れるのか? その度にいつも思う。山本弘さんのと学会に纏わるエピソード、そのとき、トンデモを笑っていた人たちが十分トンデモであったという出来の悪い寓話のような実話を読むとなおさら。私は、真っ当なのかと。
山本弘さんがついに書いてくれました 古新野 ま~ち @obakabanashi
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