&α
「何が天国よ」
「天国だぜ。これでようやく、悶々とする日々から脱出できた」
「小さいって、そんなに大変なの?」
「女にはわかんねえよ。分かる必要もない。そっちの目は、どうなんだ」
「問題があるわ」
「まじか。じゃあもう一個も移植して」
「そういう意味じゃない。色が、反転してるの」
「それじゃあ、手術は」
「うまくいってるわよ。これは、副次効果みたいなものなの。日常生活にも特に支障はないわ」
「どういうことだ?」
「色がね。違うの。私が自分の目で見てたときと。青と赤が」
「青と赤」
「反転してるの。青が赤に。赤が青に」
真っ赤で、綺麗な、空。
「これはこれで、綺麗よ。ありがとう。もうひとりで歩けるから。下ろして」
「ああ」
「退院、おめでとう。はじめての外は、どう?」
「ちょっとこわい」
「そっか。じゃあ、手を繋ぎましょうか」
「うん」
「恋人繋ぎにしなさいよ」
「ええ」
「さっきまで私を抱えて歩いてたでしょ。今さら何を」
青と紅の反転 reW 春嵐 @aiot3110
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます