第8話 ストーブ!

 ムニムニ♪プニプニ♪ツンツン♪


「セクハラで訴えるぞ」


 寝込みを襲われた。


 目覚めると香夏にお腹をもみもみされていた。


「まったく、こんなに立派に育っちゃって」


 揉み続けながら言う香夏。


「これはお前らのせいだろ」


 香夏の家で餅つきをして以来、ちょくちょく御飯に呼ばれるようになってしまった。


 そして東雲家の一食の量が多く、馬鹿みたいに食わされる。


 結果がこのざまだ。


「人のせいにしないでくださーい。先輩が運動不足なだけですー」


 ぐうの音も出ない。


「名残惜しいですけど、そのお肉ちゃんとはさよならグッバイするために走りにいきますよー」


 嫌だ。


 さよならグッバイとか頭悪いこと言うな。


「そんな苦虫をかんだような顔してないで、さっさと着替えてください。

 私が脱がしてあげてもいいんですよ」


 警察呼びたい。呼ぼうかな。



 あれから1時間後、俺の抵抗はむなしく着替えて走らされました。


 今はまだ二月の初めなのでめちゃくちゃ外寒い。


 3キロぐらいでギブアップでした。えらい!よく頑張ったな、俺!これで元のスマートな俺に...


「なるわけ無いじゃないですか。これから毎日続けますよ」


 かなしいです。


 家に戻り、ストーブで暖を取る。


 俺はたぶんストーブと結婚するんだと思った。


「一生大切にするよ、ジェシー」


 ちなみにジェシーはストーブのメーカーだ。


「もー!私も寒いんですよー!!」


 香夏がわき腹にクリーンヒットした。


「~~~っ!!!」


 わき腹を抑えて蹲る。


 タックルが強いねん!!


「ジェシーを独り占めした罰です」


 お前までジェシーって呼ぶな。


 そのまま横に座り、二人並んで温まる。


 香夏が何か言っているがうまく聞こえない。


 ストーブの温度が高すぎたか?ぼーっとする。


 視界がゆがむ.........?




「先輩この後何します?ん?先輩聞いてます?」


 横でストーブにあたる先輩は、何だかぼーっとしている。


「先輩?」


 肩を揺らすとそのまま横に倒れてしまった。


「先輩!」


 どうにかベッドまで運んで、熱を測る。


 38.0


 先輩は一人暮らしで両親はこの家にいない。


「どうしよう、病院、まず先輩のご両親に連絡したほうが...」


 あわあわしていると、それを聞いた先輩に腕を掴まれる。


「先輩!ご両親の連絡先を...」

「大丈夫だから!親には連絡しなくていい」

「でも...」

「お願いだ。大丈夫だから...」


 必死に止めるわたしを先輩。


「…わかった。先輩、ちょっと待っててね」


 スマホを取り出し電話をする。


「もしもしママ?今日先輩の家に泊まるね。…うん…うん…わかった。ありがとう」


 さてと、ここからは私が先輩を看病する時間です。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

引きこもり陰キャに体力を求めるな! かめじぃ @kamejii

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ