驚異的な馴れ初め

&α 数年後

「一応適齢期まで待ったけど」

「おまえ、本当に年上になったみたいに見えるな」

「言ったでしょ、包容力と安定力だって。結婚してくれるわね？」

「付き合ってからだろ、そういうのは」

「いいえ許しません。交際零日婚を選択します」

「コンプレックスか。不義の子っていう」

「そうよ。その通り。不倫は許さぬ」

「こわいなあ」

「あなたが不倫するぶんには構わないけど」

「は？」

「大切なのは自分の貞操だけなので」

「おまえ、この国に不義のセックスがいくらあると思ってんだよ」

「だからよ。だからこそ、なの」

「意味がわからん」

「不義の子だから、がんばるの。ひっしに、自分を鍛えて、こわいものから逃げてきたの。それを、壊したくない」

「ははあ。付き合うという行為がこわいわけね。貞操的に」

「うっ」

「よしわかった。交際零日婚を了承しよう」

「ありがとうございます」

「俺のことは、言わなくてもわかるな？」

「分かるわ。同じだから。人を救って、身代わりに死にたがってる危ないやつ。だから、人の本性が剥き出しになる学校のいじめ問題に顔を突っ込むアドバイザーをやってる」

「正解だ」

「私を救った責任を取りなさい。私も、あなたに救われた恩を返すわ。末永くよろしくね、ロリおじさん」

「こちらこそよろしく、年上のクソガキ」