第2話
黒木神夜は悪夢から飛び起きた。
「っ!何だったんだ今のは…。こことは違う世界…なのか?ただの夢…なわけないよな…──いや、考えててもしょうがないか。なんでもなければそれでいいわけだし」
そう独り言を呟きながらベットから降りる。
「神夜ー!!山登りしようよ!」
突然自室のドアが開き、一人の少女が入ってきた。
「またか…。何回同じ事を言わせるんだ、彩華。俺が独り暮らしだからって勝手に入ってくるな」
彩華と呼ばれた少女は、笑いながら部屋に入ってきた。ストレートのきれいな黒髪。顔の各パーツのバランスがよくとれており、整った顔。そう、実際、かなりの美少女であることは神夜も認めていた。
彩華は、神夜と同じ高校の1年。神夜のアパートの隣の一軒家に住んでいる。ちなみに、彩華は父が単身赴任で、母と二人暮らしらしい。
「とか言ってー。実は結構嬉しいくせに」
「はあ、暑さで脳みそ溶けたか?」
「あーあ。そんなこと言ってたら私一人で山行っちゃうからね?いいの?行っちゃうよ?」
「ダメだ。インド洋で遺体で発見されでもしたらこっちが迷惑だからな」
「いや、私、山に行くんですけど?」
「だいたいお前は方向音痴すぎるんだよ。どこにたどり着くか分かったもんじゃない」
「失礼だなあ、もう!いいからいくよ!今日は面白い夢を見たんだから!」
「…夢?どんな夢だ?」
「あのね。夢で私、森を歩いてて、なんか見覚えあるなーって思ってたら、そこの箱威山の森と一緒だったの。私よく行くからね。」
「で?どうしたんだ。そこでなんかあったのか?」
「いや、それがよく分かんなくてさ。なんかちっこい遺跡みたいなのがあって。そこの階段降りたところで視界がブラックアウトしてて、気づいたときはなんか仰向けでねっころがっててるとね、上から白い箱っぽいのがおりてきて、そこで目が覚めたんだけど。ちょっと興味わいたからいってみようかなっと。──って、どうしたの?そんな怖い顔して」
「似てる…」
「ん?」
「似てるんだ…俺がさっき見た夢に…。でも…違う。その箱じゃない…」
「何言ってんの…?」
「よし。分かった。行こう」
「え?」
「山だよ。さっきおまえが言った山に行くぞ」
「ん?なんかよくわかんないけどまあいっか!それじゃ、出発!」
「待て馬鹿。俺が準備してからだ」
「えー。早くー。神夜遅いんだよー」
「うるさい。外で5分待ってろ」
「5分ね?よし!いーち!にーい!…」
「はよ外出ろ!」
ー5分後ー
バックを背負った神夜が出てきた。
「行くぞ」
「おっそーい!…って言いたいのになんで5分ぴったりなのよ!」
「置いてくぞ」
「わ!まってまってー!」
そして彼らは歩いていく。その先に何があるのかも知らずに…。
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